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一番良い方向へ導いてくださる

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大学受験でまさかの

冬になると、私(58)は息子の大学受験を思い出します。

息子は、わが家の5人きょうだいの末っ子で、勉強が好きで大学進学を希望していました。上の4人は、高校卒業後すぐに社会に出たため、親としても、子どもの大学受験は初めての経験で、私は神様に「これからどうぞ、神様の良いように道をつけてください」とお願いしました。

彼は、隣県の国立大学を志望していました。成績も合格圏内で、受験前には、親子で大学の下見と賃貸物件の入居予約も済ませ、すっかり合格気分になっていました。

当時は、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され始めた頃で、彼は、神様にお願いをして試験に臨みました。結果は、本人の手応えとは裏腹に、まさかの不合格でした。

思いも寄らない結果に、いつも冷静で穏やかな彼もショックを受け、「応援してくれたのに。今までありがとうございました」と言って、涙をこらえていました。彼の口からこのような言葉を聞いて、私も泣きました。この時のことを思い出すと、今でも胸がキュッとなります。

落ち込む彼を見ていると、私はふと、子どもの頃にお参りしていた教会で聞いた、おじいちゃん先生の言葉を思い出しました。

入学した後の事まで

金光教の教会では、先生が参拝者の願いや悩みに対して、信仰に基づいていろいろなことを教えてくれます。おじいちゃん先生は耳が遠いので、いつも大きな声で話していました。

ある時、私が教会にお参りすると、先生は受験に関する話をしていました。「自分が入りたい学校が、良いとは限らん。まずは全てにお礼を申しながら、受けさせてもらうんじゃぞ」

私はそれを聞いて、「受験は合格さえすればいいと思っていたけれど、この先生は入学した後の事までひっくるめて、神様にお願いしてくれているんだ。もし不合格で違う進路になったとしても、『良かった』と思えることがあるんだな」と、合否に対する見方が変わったのです。

そのことを思い出した私は、「今はつらいだろうけれど、神様が一番良い所へ彼を導いてくださる」と信じ、改めて、受験のことはもちろん、それから先の事もひっくるめて神様にお願いしました。

家から通える大学へ

その後、気持ちを切り替えた彼は、自宅から自転車で通える県立大学の後期試験を受け、無事に合格しました。入学する頃には、感染症の影響で、あらゆる行事が中止となり、授業も全てオンラインになりました。おとなしい性格の彼が、もしも一人暮らしをしていれば、自粛生活のストレスで苦しんでいたかもしれないと思うと、実家から通えていることがありがたく、神様に感謝しました。また、地元の塾が塾講師のアルバイトに誘ってくれました。自室から、楽しそうにオンライン授業を行う彼の声が聞こえ、うれしく思いました。

彼は今、大学で自分が目指す職業の最先端技術を学べることを喜び、「尊敬できる教授に出会えた!」と、生き生きしています。友人にも恵まれ、明るい表情で夢を語る彼を見ていると、あの時のおじいちゃん先生の言葉が、輝きをもってよみがえります。

私はこの受験で、たとえ希望通りに進めなかったとしても、神様は願っていれば、その人にとって一番良い方向へと導いてくださるのだと教わりました。神様に導かれての今に感謝して、私は今日も彼のこの先を「どうぞ良いようにしてください」と、お願いしています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2023年2月22日号掲載

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