MENU

MENU

読みもの

公式Facebook

信心も商売も実意丁寧が大切

目次

得意先の注文をミス

私(48)は、父と共に金物店を営んでいて、日用品から工事用資材まで扱っています。以前、町内に7、8店舗あった同業者も、今は2店だけです。父は、「金光さんの信心を忘れたら、うちのような店はいつつぶれてしまうか分からん」と言って、従業員や取引先を大切に商売してきました。

今年の2月、私は大きなミスをしてしまいました。得意先からの注文を間違って発注し、形状の違う商品が届いたのです。慌てて再発注したものの、特種な資材なので納品まで1カ月以上かかるとのこと。得意先に事情を説明すると、「それでは困る。工期の期日を過ぎれば、うちは二度と請け負えない。何とかしてくれ」と強く言われました。

その夜、教会に参拝すると、製造業に従事する信心仲間の浩さん(50)が、先にお参りしていました。彼は、「得意先から無理な納期での発注があり、徹夜で仕事しても、とても応えられない。これ以上、部下に無理強いできないし、どうしようもない」と、途方に暮れていました。

私も今、仕入れ先に同じことをしているかもしれないと思いました。しかし、どうにか資材を届けて工事が間に合うよう、神様にお繰り合わせを頂かなければと思い、お結界(けっかい)で教会の先生にお願いしました。先生は「分かりました。神様にお願いさせてもらいます。しかし、仕入れ先に無理をさせるようなことを神様に頼むのですから、あなたも何かさせてもらいませんか」と問い掛けてきました。

何と答えていいか分からず黙っていると、先生が「相手が徹夜して仕事するかもしれないですから、悠々と寝ているわけにはいかないですね」と言ったので、「その間、私も毎朝お参りしてご祈念します」と答えました。

仕入れ先も得意先も

朝参りを始めて2日後、仕入れ先から「20日ほどで納入できそうだ」と電話がありました。もううれしくて、教会の先生にお届けすると、「神様にお礼申しましょう。でも、必ずそうなるとは限りません。新型コロナ感染症のこともありますし」と言われ、私は、仕入れ先の従業員とその家族の健康をお願いするようにしました。翌朝には、先生から「お得意さんの方はどうですか」と言われ、資材の入荷まで工事ができない間、得意先が立ち行くようお願いすることにしました。

すると、仕入れ先から「さらに早く納品できそうだ」と連絡がありました。先生が一つ一つお取次くださり、関わり合う人たちの立ち行きを丁寧にお願いしていくと、神様がお働きくださることを実感しました。それからは、今回の関係者だけでなく、日頃から取引のある得意先の皆さんが、仕事や生活全般にわたって神様のお繰り合わせを頂けるよう、朝参りのたびにお願いするようになりました。

願った以上のおかげ

最終的には、2週間ほどで資材が届きました。おわびとともに納品すると、「実は待っていた間に他の仕事が入り、かえって助かった」と喜ばれ、恐縮しました。工事も期日までに完成し、何とも言えない喜びを味わいました。しかも、注文間違いの商品は、特種な資材にもかかわらず、「購入したい」と言うお客さんが現れて、神様のお働きにますます驚かされました。

父からは、「金光教の信心は実意丁寧が大切だから、今の気持ちを忘れたらいけない」と言われ、本当にその通りだと思いました。ここまでのことを思うと、願い以上のおかげを見せてくださった神様へのお礼は、まだまだ足りません。これからも、朝参りを続けようと思っています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2022年11月23日号掲載

目次