母の肉うどん


●信心ライブ
「母の肉うどん」

金光教放送センター


(ナレ)金光教の集会で行われた発表や講話などを録音で紹介する「信心ライブ」。
 今日は、大阪府にお住まいの的場倫子まとばりんこさんが、平成25年10月に、金光教本部でお話されたものをお聞き頂きます。

(音源)私は今、大阪の堺にあります、上野芝うえのしば教会で日々ご用にお使い頂いています。子どもたちは、上から高校2年生、2番目が小学6年生、3番目が小学5年生、一番下は3歳と、実にバラエティ豊かな子育てを楽しんでおります。家の中は毎日とってもにぎやかです。
 つい先日も、一番下の子が外で遊んでいたんですけれども、「ズボンがぬれたぁ」と言うて上がってきました。パッと見ると、ズボンの前の部分が、いい感じでぬれてました。「オシッコ、出たんやね」と言うと、「ちがうちがう。水風船がオシッコしてん」と言うんです。「ぼくじゃないよ。水風船が、ここでパシャンて、オシッコしてん」。私も、「ああ、そうかそうか。水風船で遊んでたんやな」と思って、「じゃ、そのうち乾くわ」と言うたら、「うん」と言って、また外に遊びに行きました。
 その後、三男が帰ってきまして、お友達も2人ほど来てまして、一緒に遊んでもらってたんですけれども、お兄ちゃんたちが、「なんか、オシッコ臭くない?」「なんか臭いよなぁ」っていう話をしているのを聞いて、その一番下の子が、そぉーっと自分のタンスのところに、パンツとズボンを取りに行きまして、部屋の隅っこに隠れて静かぁに着替えておりました。それを見て私は、「ほれ、やっぱりオシッコぬらしてんじゃん」って思ったんですけれども、言い訳がすごく可愛くて、「水風船がオシッコした」なんて言うもんですから、「まぁ、いっか」と思ったことでした。
 私は、福岡県の水田みずた教会という教会で生まれ育ちました。兄が3人いまして、私は、末っ子の女の子として生まれました。私の母は一人娘の私には、どこに行っても苦労しなくていいように、また、家事で苦労することのないようにと、たくさん祈りを掛けて、色んなことを教えてくれました。
 料理とか裁縫とかお掃除とか、もちろん、そういうことは、当然教えてもらったんですけれども、一番私の中に残っているのは、毎日こつこつと一生懸命家事をする母の姿でした。毎日毎日はたきを掛けて掃除機を掛けて、また雑巾掛けをして、たくさんの洗濯物と、またみんなのご飯、それから後片付け。毎日毎日その繰り返しです。
 でもその繰り返しを、当たり前に、毎日丁寧にする、そんな母の姿を見て育った私は、毎日せっせと家事をします。これは、母の祈りだと思います。「一人娘である私が、どうぞ苦労しませんように」。そういう思いで、たくさん神様にお祈りしてくれて、神様も、「よしよし、分かった」と言って聞き届けて下さったんだろうなぁ、と思わせて頂いています。そして私は今、料理をしたり、掃除をしたり、お裁縫をしたり、また、お菓子を作ったりと、楽しい毎日を過ごさせて頂いています。
 私は子どもの頃、肉うどんが大好きでした。我が家では、年に1度、自分の誕生日には自分の好きなおかずをリクエスト出来るというルールがありまして、まぁ、裕福ではなかったので、誕生日のプレゼントとかケーキとかはなかったんですけれども、親心でしょうか、「せめて何かおいしいものを食べさせたい」。そういう思いでしてくれてたんだと思います。
 うどんといっても、スーパーとかで見掛けるあの袋に入った、30円ぐらいのあれです。下手すると、18円とかで売ってますよね。あれなんですけど、まぁ、私は毎年毎年肉うどんをリクエストしました。兄たちは、「おいおい、もうちょっと滅多に食べれんものにしてくれよ」と言ってたんですけれども、まぁ、そういう兄たちも、そろいもそろって「カツカレー」と言ってました。
 その肉うどんは、いりこのだしのスープで、麺はクタクタです。お肉も、牛肉は高いので、豚肉を甘辛く炊いたものです。畑からネギを取ってきまして、たくさん切って乗せて頂きます。これがもう、とにかくおいしいんです。
 友達は、誕生日というと、「あれ買ってもらった」「これ買ってもらった」、また「どこそこに食べに行く」。お誕生会をする子もいましたね。もう、可愛いお人形とかおもちゃとか、うらやましくて仕方ありません。でもそんなこと、親には言えません。親も分かっています。最新のおもちゃを持って、「これ、買ってもらったぁ」って、遊びに来るんですからね。つらかったと思います。買ってあげたいけど、買ってあげれない。でも、そういう思いを全て祈りに変えて、あの肉うどんを作ってくれてたんだろうな、今ではそう思います。
 大人になってからは、もちろん、自分でも作りますし、お店で食べたこともあります。だけど、やっぱり無理ですよね。祈りのスパイスがたっぷり入った、おいしいおいしい肉うどんは、母の以外食べたことはありません。

(ナレ)お母さんの深い祈りの中で育てられた的場倫子さん。今度は、子どもたちに、たっぷりの愛情を注いでいます。その姿を、神様も、にこにこと見守っておられることでしょう。

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