●天地は語る
第4回「心配りって何?」
金光教放送センター
(ナレ)金光教の教祖である金光大神の教えに次のようなものがあります。
「心配りする心で信心をせよ」
今日はこの教えについて先生にお話をお伺いします。
(聞き手)先生、おはようございます。
(先 生)おはようございます。
(聞き手)今日は、「心配りする心で信心をせよ」という教えですが、短くて何だか簡単そうな教えですね。
(先 生)いやいや、簡単そうに思えますが、意味は奥深いものがあるんですよ。それではちょっと一緒に考えてみましょう。
(聞き手)はい、よろしくお願いします。
(先 生)まず、「心配りする心」とは、どんな心のことだと思いますか?
(聞き手)う~ん、「おもてなし」ということでしょうか?
昨年、オリンピック開催地が東京に決まりましたよね。ちょうどその時に、「おもてなし」という言葉がはやりましたが、その「おもてなし」のように相手の人に対する心遣いや気配りのことですか?
(先 生)そうです。「おもてなし」、いい言葉ですね。心を込めて相手の人をもてなし、接待をする。人に対して心配りをすること、相手の人の気持ちを思いやることは、とっても大切なことであり、素晴らしいことですからね。
(聞き手)すると、この教えは、「おもてなし」の心で信心をしたら良いということなんですね。
(先 生)そうですね。
(聞き手)信心って神様を信仰するということですから、相手は神様ですよね。すると、おもてなしの相手は神様ですか?
(先 生)そうです。では、神様に喜んで頂くにはどうしたらいいんでしょうね。神様はこんな恵みを私たちに下さっています。まず、空気や水、光、熱、食物などたくさんの天地自然の恵みがありますね。そして、意識しないで1日に1万リットル近くもの空気を吸い、新鮮な酸素を体に取り込んでいますし、心臓は毎日およそ10万回も鼓動してその酸素を体の隅々にまで行き渡らせるという命の働きをしてくれています。何とありがたいことでしょうか。人間はみんな平等に神様の恵みやお働きによって生かされて生きているんです。
(聞き手)先生、私は今まで空気や水、光など、有って当たり前のものだと思っていましたし、いつも心臓が動いて命を支えてくれていることをあまり意識していませんでした。今、改めて意識してみると、何だかうれしくありがたい気持ちになってきます。
(先 生)そうですね。そのうれしい気持ち、感謝の気持ちを神様に向けて行動に現していくことが大切なように思うんです。
(聞き手)感謝の気持ちを神様に向ける、ですか?
(先 生)人間は皆、神様のいとし子と言われていますから、私たちはお互いを大切にすることが神様の願われていることではないでしょうか。だとしたら、人に心配りをすること、そのことが神様に対する、「おもてなし」だと思うんですよ。
(聞き手)え、それでは心配りは神様というより人にするんですか?
(先 生)そうです。でもね、以前、私の奉仕する教会に信心するのがつらいと言っていた方がおられたんですよ。その方は、信心深かったお母さんの言い伝えをしっかりと守ってきたそうです。それは、自分のことよりも先に人のことに気を配りなさい、ということでした。ですからその方は、自分のことは後回しにして周りの人たちをいつも何かと手伝ってあげたりしてきたそうです。周りの人たちは事あるごとにお礼を言ってくれましたが、その方自身、ありがたさとかうれしさというものがあまり湧いてこなくてつらくてたまらなかったそうです。
(聞き手)ふ~ん、そうなんですか。
(先 生)ええ。お母さんがどうして人に心配りすることを大切にしてきたのか考えますと、お母さんは長く信心してきた中で生かされて生きている自分というものに気付かれたのではないでしょうか。そして、神様の恵みやお働き、言い換えると天地自然の恵みやお働きに対してのお礼の気持ちを神様に向けることとして、人に対する心配りをしてこられたのだと思います。
(聞き手)それはどういうことですか?
(先 生)息子さんは、人に気配りをして人に喜んでもらうことが信心する上で大切なことだとばかり思っていたのですが、お母さんの方は、神様はどうしたら喜んで下さるのかな? と思いながら生活してこられたんですね。そのことが結果として人への心配り、思いやりとなって現れてきたのだと思いますよ。
ですから、単に人に心配りをするのと、神様を通して人に心配りをすることとは、大きな違いがあるんですよ。
(聞き手)そうなんですか。神様への心配りは人への優しさ、言葉遣い、物事への取り組みなど生活の至るところに自然な形で現れてくるんですね。
息子さんは、現在どうしているんですか?
(先 生)はい、とっても元気に信心されてますよ。その違いに気付き、神様にお願いしながら、周りの人たちに心を配り、親切にしておられます。
(聞き手)私もそんな心になれたらいいなあ、と思えてきました。
先生のお話を聞かせて頂き、元気にならせてもらいました。今日は本当にありがとうございました。
(先 生)こちらこそ、ありがとうございました。
(ナレ)今日は、「心配りする心で信心をせよ」という教えについて、先生にお話をお伺いしました。