●シリーズ「あなたへの手紙」
第3回「①娘が受験で不合格/②お葬式は必要か」
金光教放送センター
おはようございます。大阪府・金光教金岡教会の岩本威知朗です。
最初に、43歳の女性からのご相談です。
「娘が高校受験で第1志望校が不合格になり、とても落ち込んでいます。親としても、娘が一生懸命勉強してきた姿を見ているだけに残念で、どう言葉を掛けていいか分かりません。
また、受験前に神様にお願いしたのに落ちてしまい、『神様なんていないのでは』とさえ思ってしまいます。どうしたらいいでしょうか」
このようなご相談です。
まずは高校受験、お疲れ様でした。娘さんもお母さんも、不安や心配を抱えて、よくこの時期を通られましたね。お互いによく頑張りました。それだけに、第1志望校に落ちてしまったことは、さぞかし残念に思われたでしょう。
実は、私の娘も昨年高校受験だったんですが、あなたの娘さんと同じように、第1志望校は不合格でした。その時は親子共にショックで、泣いている娘にかける言葉が見付かりませんでした。ですから、娘さんやお母さんの残念なお気持ち、よく分かります。
私の娘は、結局第2志望の高校に入学しました。そして、登校が始まり学校生活にも慣れた頃、改めて、今の学校に通うようになったことを、親子で振り返ったんです。
同じように娘も、神様に合格祈願をしていました。それは「合格しますように」というお願いではなく、「自分に合った高校に行けますように」と願っていたんです。娘はそのことを思い出して、「今通っている高校は、神様が選んでくれたんだ」と思えたようで、前向きに考えられるようになりました。
第1志望の学校は、自由な校風だったんですが、今通っているところは、大変勉強に熱心で厳しい学校でした。娘は「もし第1志望校に行ってたら、自分は意志が弱いから、楽なほうに流されて、勉強を頑張れなかったかも。大学進学も諦めていたかも」と言います。「勉強をしっかり頑張りなさいって、神様が導いてくれた」と感じているようです。さらに、後から分かったことですが、今の高校は偶然にも曽祖父の母校でもあって、ご縁を感じました。親子共に、今はこの学校で良かったと思っています。
娘さんも、神様にお願いして一生懸命努力してきた結果ですから、きっとこれから通う高校が、娘さんにとって一番ふさわしい学校になると思いますよ。「神様なんていないのでは」と思われているかもしれませんが、神様は、こちらの願い以上のことまで導いてくださいます。まずは現状を受け入れて、その中から楽しみや喜びを探してみてはどうでしょうか。きっと、娘さんにとって、新しい発見や出会いがあると思います。
どうか娘さんが、希望を持って、元気に成長されますことを、お祈りしています。
次は、74歳の女性からお葬式についてのお尋ねです。
「夫の親せきが亡くなり、私たちの知らないうちに、お葬式をせず直接火葬する、いわゆる『直葬』で納骨されました。「『直葬』は、今の時代よくあるよ」と知人から言われましたが、月日が経ち、本当にそれで良かったのか、亡くなった方は納得しているのか心配になってきました。お葬式はやはり必要なのでしょうか」
このようなお尋ねです。
私もこれまで、周りで「直葬」されたという人の話を聞いたことがなかったので、「今の時代よくある」と聞いて驚きました。さぞかし戸惑いを感じられたことだと思います。最近では「家族葬」など、簡単に済ませようとする傾向がありますよね。でも、まず大切なのは、「お葬式は、誰のために、何のためにするのか」ということだと思います。
いろいろな考え方があるとは思いますが、金光教では、お葬式ではまず神様に、亡くなられた方が生前中命を頂き、生かされてきたことのお礼を申し上げて、その方の亡くなった後の安らぎと、ご遺族の立ち行きを願うことを大切にします。さらに、亡きご本人始め家族が、これまでお世話になった方々への感謝の気持ちを現す場でもあると考えます。
私の大叔母は、米寿を迎えた時、「私が亡くなったら盛大なお葬式はしません。元気なうちに感謝を申したい」との思いで、これまでお世話になった方々を招待し、「御礼の会」をしました。その時、自分の「人生回顧録」を作って神様にお供えして、それをみんなへ配って感謝の気持ちを伝えました。その後20年107歳まで長生きをし、亡くなった時は「家族葬」で神様に人生のお礼と今後の立ち行きを願いました。
人は死んでしまうと肉体は無くなりますが、魂である御霊は、ご遺族やご親族の心の中に生き続けると言われています。御霊様にとって、みんなから忘れられることが、何よりも寂しく悲しいことです。あなたが今、亡くなられた方をしのび寂しく思い、忘れずにいることが、御霊様の喜びになると思います。もしかしたら他のご遺族にも、「本当に『直葬』で良かったのか」と思われている方がいるかもしれません。一度みんなに相談してみてはどうでしょうか。
お葬式については、生前中に家族で話し合っておくことは大切なことです。金光教の教会では、お葬式や御霊様のことなど、丁寧に教えてもらえます。いろいろと分からないことがあるでしょう。よろしければ、どうぞお近くの教会へお尋ねください。