●シリーズ「天地は語る」
第4回「降っても、照っても」
金光教放送センター
(ナ レ) 金光教の教祖である金光大神の教えに次のようなものがあります。
「お天道様のお照らしなさるのもおかげ、雨の降られるのもおかげである。人間はみな、おかげの中に生かされて生きている」
今日は、この教えについて先生にお話を伺います。
(聞き手) 先生、おはようございます。よろしくお願いします。
(先 生) はい。よろしくお願いします。
さて、今日のお天気はどうでしょう。
(聞き手) 良いお天気になるといいですね。それだけで気持ちも晴れ晴れしますし。逆に、雨だと、うっとうしい気分になったりして。「ああ、また傘を持って出掛けなくちゃ」とか。
(先 生) 「お洗濯物が乾かない」とか?
(聞き手) そうそう。そうですね。本当に困ります。
(先 生) そういうこともあるかもしれませんね。
でも、今日お話ししたいのは、晴れるとお天気が良い、雨だと悪いとか言うけれども、本当は良い・悪いではなくって、どちらも神様のお働きなんだ、ということなんです。
(聞き手) はい。
(先 生) ところで、天水という言葉をご存じですか?
(聞き手) テンスイ、ですか?
(先 生) そう。天の水と書いて。
(聞き手) ああ。それで、天水ですか。
(先 生) そう。実は、私も、お米作りをしている農家の方から聞かされて、ああ、こんな言い方があるんだ、と思ったんですが、雨のことを、こういうふうに表現することがあるんですね。天からの水。天から授かった水。なんか、良い言葉でしょう。
(聞き手) そうですね。
(先 生) いつでしたか、とても夏の暑い年があったでしょう。その時に、農家の方に尋ねたことがあるんです。
「今年は、夏の間、お天気が続いたから、良いお米がたくさん取れたでしょうね」って。
(聞き手) ええ。
(先 生) そしたら、その方がおっしゃるんです。「いえいえ、今年は実はあまり良くないんです」って。
(聞き手) え、どうしてですか?
(先 生) それがね、お天気が良くても、それだけでは、お米には良くないんだそうです。その農家の方が言われるのには、「もうちょっと天水を頂けば良かったんですが…」っていうことなんです。
(聞き手) 天水というと、雨のことですか?
(先 生) そう。そうです。雨も必要なんだそうです。
(聞き手) 雨が降らなくて、水不足だったんですか?
(先 生) いいえ。今は、農業用水がきちんと整備されていて、余程のことがなければ、田んぼの水が不足することはないそうです。
(聞き手) そうなんですか。でも…?
(先 生) そう。それでもやっぱり、雨が降らないといけないんです。
(聞き手) へえ…。
(先 生) 夏の暑い時期に、稲が、お日様をいっぱいに浴びる。
(聞き手) ええ。
(先 生) もちろん、それは大切なんです。
だけど、それだけじゃなくて、稲が元気いっぱいに育って、良いお米がたくさん取れるには、雨水を浴びることも必要なんだそうです。
(聞き手) そうなんですか?
(先 生) お日様の光と、天から降ってくる水を浴びて、稲がすくすく育つ。なんかほほ笑ましいでしょう、その姿を想像すると。
(聞き手) ええ。稲がシャワーを浴びてるみたいですね。
(先 生) 本当、そんな感じですね。
雨というと、つい、うっとうしく感じてしまったりしますけど、でも、そんな時、稲が、光と雨のシャワーを浴びて気持ち良さそうにしているところを、ちょっと思い浮かべてみてはどうでしょうか? 感じ方が変わるかもしれませんよ。
(聞き手) そうですね。そうかも知れません。
(先 生) ところで、今日の、金光教祖の教えを思い出してみて下さい。
(聞き手) はい。
(先 生) 「お天道様のお照らしなさるのもおかげ、雨の降るのもおかげ」と、「おかげ」という言葉が、何回か出てきましたね。
(聞き手) ええ。
(先 生) この「おかげ」という言葉、どんな意味か分かりますか?
(聞き手) そうですね。大体は…。
例えば、誰かにお世話になった時、「あなたのおかげで」とか言ったりしますし。
(先 生) そうそう、物事が思い通りにうまくいった時に、「おかげさまで」というような言い方を、よくしますね。
(聞き手) はい。
(先 生) それももちろん、「おかげ」なんですけど、ここでは、もうちょっと広く、「神様のお働き」というような意味だと思って下さい。
(聞き手) 神様のお働き…。
(先 生) そう。それも、いのちを生かそうとする、神様のお働きです。
(聞き手) いのち、ですか。
(先 生) だから、今日のお話も、晴れたり雨が降ったりということには違いないんですが、そこに、いのちを生かそうとする、神様のお働きがある、ということなんです。
(聞き手) でも、雨が降りすぎて、困るということもありますよね。
(先 生) そうですね。時には、洪水とか、そういう災害になることも…。逆に、晴ればかりが続きすぎても、困ることになります。
(聞き手) それでも、「神様のお働き」なんですか?
(先 生) そうですね。時には、人間にとって都合の良くないことが起こってくることもあるし、被害が出れば大変なことです。
でも、それでも、お日様のお照らしがなければ、そしてまた、雨が降らなければ、全ての生き物は生きていくことは出来ません。
(聞き手) そうですね。
(先 生) 私たちは、自分の力で生きているように思っているけれども、実は、そういう神様のお働きによって、生かされているということなんです。
(聞き手) はい。
(先 生) 私たちが生きていくために、必要なもの、例えば、水とか食べ物とか…。いろいろありますよね。
(聞き手) ええ。今日のお話のお米もそうですね。
(先 生) そうそう。そういう、たくさんのものを通して、神様が、私たちに生きる力を与えて下さっている。
(聞き手) はい。
(先 生) 神様のお働きを無駄にしない、神様から与えられたものを大切にする、そういう生き方をしていきたいものです。
(聞き手) そうですね。先生、今日はありがとうございました。
(先 生) はい。ありがとうございました。
(ナ レ) 今日は、「お天道様のお照らしなさるのもおかげ、雨の降られるのもおかげである。人間はみな、おかげの中に生かされて生きている」という教えについて先生にお話を伺いました。