●天地は語る
「『カワイイ』が世界中に溢れだす」
金光教放送センター
(ナレ)「広い世間には、鬼のような心を持っている者もないとは言えないが、人間であったら、気の毒な者を見たり難儀な者の話を聞けば、かわいそうになあ、何とかしてあげたらと思うものである。神の心は、このかわいいの一心である」
これは金光教の教祖、金光大神の教えの一つです。今日はこの教えについてのお話です。
(聞き手)先生、はいっ、これどーぞ。
(先 生)かわいい花ですね。おっ、ナデシコですね。これ、どうしたんです?
(聞き手)近くの土手を歩いていたら見付けたんです。あんまりカワイかったんで、少しだけ摘んで来ました。
(先 生)そうですか。いやっ、わざわざどうも。
(聞き手)ところで先生、今日の教えにも、「カワイイの一心」とありますが…。
(先 生)はい。「かわいそうになあ、何とかしてあげたら…、神の心は、このかわいいの一心である」とありますねぇ。
(聞き手)私も、「あっカワイイ!」って、つい無意識に使ってるんですけど…、でも私の言うカワイイには、「かわいそうに、何とかしてあげたい」という気持ちはないようなんですけど。
(先 生)うん、あなたのおっしゃるカワイイは、例えば、この服カワイイとか、笑顔がカワイイとか…。そうでしょ。
(聞き手)はい。カワイイ花や、カワイイ女性とか…。
(先 生)もともとはね、かわいいというのは、「気の毒で見ていられない」とか、あるいは、「不憫で何とかしてあげたい」というそういう使われ方が、むしろ一般的で…、その意味では、今の使われ方は、だいぶ違うんですねぇ。
(聞き手)そうだったんですかぁ。
(先 生)この教えのかわいいもね、もともとの意味で…、例えば、我が子のことを親がかわいそうで心配して見守る、あるいはふびんで何とかしてやりたい、助けてやりたい、もっと言えば幸せになってもらいたい、といった、そういう放っておけない一途な思いの現れでね、そこからくるかわいそうという思いのある、かわいいということなんですねぇ。
(聞き手)我が子のことを思う心のようなもの…ですか?。
(先 生)そう。子どもの幸せを、願い続ける親の心と同じ。しかもそれは、神様が、全ての人間に対して、もちろんあなたにも向けられた、幸せになって欲しいとの神様の一途な心でね、それがこの教えが言わんとする大切なポイントなんですねぇ。
(聞き手)私の幸せを願っている神様の心…ですか?
(先 生)そう! そして重要なことはね、この、「神の心」すなわち「かわいいという心」は、人間だったら誰もが持っているとおっしゃっていることなんですねぇ。
(聞き手)神様の心を、私も持っていると…?
(先 生)まさにそこが大切で、気の毒な人を見たり、困っている人の話を聞けば、「かわいそうに、何とかならないのかなぁ」と思う…、あなたの心から自然と湧き出るその思いは、神様の心そのものだというんですね。
(聞き手)そういえば先生、今の話を聞いて、ちょっと思い出したことがあります。
(先 生)何ですか?
(聞き手)去年3月の東北で起きた地震の後、新聞で読んだんですが、日本各地にある刑務所の受刑者からの義援金が記録的な金額になっているというニュースがあったんですよ。
(先 生)そうそう、ありましたねぇ。私もたまたま、震災後に、近くの刑務所にちょっと研修で行った時に、施設の職員の方からも、そのことを聞きましてねぇ。
(聞き手)たしか全国2千人以上の受刑者から、合計で2千万円を超える義援金が寄せられたと新聞にあったように思います。
(先 生)あぁー、そうそう。
(聞き手)私、あの記事を読んだ時に感激したんです。「かわいそうになぁ」っていう気持ちは、みんな同じなんだなーって。
(先 生)あの時は、世界の各地から、多くの支援が寄せられ、その支援の輪は、日本を中心にどんどん広がっていったんですねぇ。まさに、「かわいそうに、何とかしてあげたい」の神様の心を、私たち人間は誰もが持っていて、だからこそ、世界中の人々の心の中にある、「何とかしたい」が同時進行で行動に現れたといえるでしょうね。
(聞き手)不幸な震災の中にあって、その一方で、全ての人の心の中に、神様の心が溢れ出したんですね。
(先 生)神仏への信仰のあるなしに関係なく、あの時の支援の現れは、神様の心そのものの現れであったといえ、この教えそのままと言えるでしょうね。
(聞き手)でも先生、私ちょっと反省してるんです。震災直後は、「私にも何かできないか」と思い、ささやかなことでしたが支援をさせていただいたんですが、この思いがなかなか継続できないんです。恥ずかしいことなんですが…。
(先 生)私も同じ…。でもねぇ、金光教の教祖様は、世界中の人々が常に、「かわいそうになぁ、何とかしてあげたい」の、この思いで満たされて欲しいと願っておられたそうです。できないじゃなくて、この教えの「かわいい」の思いを捨てない、ということが今は必要なのかも知れませんよ。
(聞き手)あっ、そういえば先生、今、「カワイイ」が世界の共通語になりつつあるのご存じでしたか?
(先 生)えーっ! そうなんですか。
(聞き手)日本の若者文化が世界中を魅了していて、特に海外の若者の間で、今でいう「カワイイ」が注目されてるんですよ。
(先 生)私はね、ぜひ、この教えの「かわいいの心」によって、世界中が包み込まれるといいなぁと願いますねぇ。
(聞き手)そうですね先生! 今日は本当にすてきな話をありがとうございました。
(先 生)こちらこそ、ありがとうございました。
(ナレ)「広い世間には、鬼のような心を持っている者もないとは言えないが、人間であったら、気の毒な者を見たり難儀な者の話を聞けば、かわいそうになあ、何とかしてあげたらと思うものである。神の心は、このかわいいの一心である」
今日はこの教えについてのお話でした。