●第1回
「かんべむさしの金光教案内5」
金光教放送センター
おはようございます。かんべむさしと申します。職業は作家でございまして、日本文藝家協会と日本SF作家クラブの会員になっております。今朝から週1回、5週にわたってお話をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そして私、金光教には、四十代の後半になってから、御縁を頂きました。以来現在まで二十数年間、教会に通わせていただいておりまして、金光教が本当に穏やかで親切な、他の宗教も否定しない、間口の広い寛容な宗教であると実感しております。
と言っても私は、「金光教でなければならん」と、皆さんを説得するつもりは全くありません。もし人生の道筋で信仰が必要になったら、それぞれが自分に向いた宗教を探せばいいと、そう考えてる人間ですので、何かその参考になればと思って、金光教の入門案内をさせていただくだけなんです。
さて、そこでまず、教祖さんの紹介から始めさせていただきますが、教祖さんは元々は幕末時代の備中大谷、今の岡山県浅口市金光町で、農業をしておられた方です。子どもの頃から神仏に参るのが好きで、温和で正直な人でしたが、一方では不幸や不運にもたびたび見舞われてました。子どもを3人も亡くす。自分も大病をする。農家にとっては家族同然の牛が2頭も死ぬ。そんな苦難を通して信心を進めるうちに、神様とお話をさせてもらえるようになられたんですね。
そしてもちろん、厳しい修行を経てのことですが、最終的には神様から、神様御自身のお名前は「天地金乃神」であると教えられ、教祖さんには「生神金光大神」、「大きな神」と書いて「大神」ですが、そういう神としての名前を与えられました。ただしこの「生神」は、信心の境地が進んだ結果、「ここに神が生まれる」「生まれた」という意味だそうで、教祖さんは、「誰でも信心を進めればそうなれますよ」と、教えておられます。
その間、教祖さんは多くの人々から頼まれて、彼らの願いの成就や難儀の解決を、神様に祈って、かなえてもらえるようになっておられました。人の願いを神に取り次いでかなえてもらい、神の思いを人に取り次いで、その人に合った、より良い生き方を教えていく。それでこれを「取次」と申しまして、今でも金光教の基本になっている働きです。
最初は農業を続けながらでしたが、神様から、「世間には難儀に苦しむ者が大勢いるから、農業をやめて取次に専念して、助けてやってくれ」と頼まれました。そこでそれからは明治16年に亡くなられるまで、大方25年間、人助けに励まれたんですね。
ところで、農業をしながらとか、取次とか、願いをかなえてもらうとか、それだけを聞くと、何か昔の片田舎で生まれただけの、通俗的な民間宗教のように思われるかもしれませんが、決してそうではありません。
私、仕事柄もあって、他の宗教の入門書なんかも読ませてもらってますが、国の内外を問わず、きちんとした宗教には、共通する点があるんですね。そしてその共通点とは、この天地、宇宙には大いなる意思があまねく満ち渡っており、その意思を感じ取った特定の人がいて、その意思を大勢の人々に伝えて、教えていく、神と伝達者と民衆という、その三者関係です。金光教もまさにそれで成り立ってるわけで、その意味では「普遍」宗教だと、私は思っております。
そして、教祖さんに話を戻しますと、その教えや取次の具体的な事例は、金光教の教典や教祖さんの伝記に、たくさん載っておりまして、幕末や明治の人々の暮らしぶりが実によく分かる本です。私にとっては、神聖な書物というより、リアルでおもしろいエピソード集だったわけで、御縁を頂いた当初、この2冊を読んだことで、私は金光教に、ぐっと親しみを感じるようになったんです。
おまけに、そこに記録されてる教祖さんが、まことに優しい、親切で、寛容な方でした。「貧しい者が困るから」と、さい銭やお供えは自由にしておられましたし、他の宗教にも敬意を払っておられたし、信者さんたちの願いや悩みは親身になって聞いてくださる。そして、神様にその成就や解決を祈ってくださる。
現在、金光教の教会は全国各地にありますが、毎日信者さんに個別に対応しておられる取次にせよ、さい銭やお供えは自由であることにせよ、また温和で親切な雰囲気にせよ、全て、この教祖さんをお手本にしてのことなんですね。だから私は、「良い宗教、心を開ける宗教だな」と、本心から思っております。
というところで、時間が来ました。それでは来週は、その教祖さんから直接の教えを受けた、近藤藤守という、大阪の難波で教会を開かれた先生のお話をさせていただきます。
それから、私のこの放送、聞いておられる方から去年も一昨年も、お手紙やメールを頂きまして、ありがとうございました。全て読ませていただいております。今年もまた、ご意見やご希望がございましたら、どうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。