●信者さんのおはなし
「Welcome」
金光教放送センター
(ナレ)東京都下北沢にある北沢教会の中畑健一さんは、親しみやすく、誰をもウエルカムで迎えてくれる温かい笑顔の方です。
中畑さんは、熊野古道で知られる山間から、田辺市の工業高校を卒業し、建築設計士を目指し東京へ出てきました。38歳の時、二人の娘と暮らすシングルマザーの吉子さんと知り合い、結婚しました。その時中畑さんご夫妻は、18年後、教会で暮らすようになるとは夢にも思っていませんでした。
(中畑)吉子さんと結婚するに当たってご両親にあいさつに行かなきゃいけないですよね。と思って行ったら、金光教大崎教会と書いてまして。金光教については全く知らなかったですね。
(ナレ)中畑さんはそこで、当時大崎教会長だった吉子さんのお母さんと、お兄さんに対面しました。
(中畑)結構いいイメージだったんですよ。イメージ的には、自然をとっても大切にする宗教。そんなイメージを持ちながら、けれども金光教的には信心が全く進まなかった。だけど仕事がなくなってきたら吉子さんが、「教会に行ってお願いしてこよう」と言うんですよ。金光教ではそれが普通なんでしょうけど、僕は信心気がなかったもんですから。それよりも吉子さんのお母さんに話さなくてはいけないというプレッシャーがあって。娘を嫁にやった、結婚したのに、仕事がないのかという。仕事がないことを、とても言いにくかったですね。
とりあえず渋々着いて行くんです。そうすると、帰りに電話が鳴るんですよ。「仕事があるよ」って。不思議なことだらけですね。
(ナレ)それから中畑さんは、大崎教会の新築、設計に仲間と共に関わり、教会にたびたび足を運ぶことになります。
そして、結婚してから18年を経た、2010年3月、転機が訪れました。二人の間に生まれた娘と共に、後継者のいない教会に親子で住む話が持ち上がります。本当に思いがけない話でしたが、吉子さんが意を決して金光教の教師になり、北沢教会での新たな日々が始まりました。
その年の8月の夜、中畑さんは、突然尿が出なくなり、お腹の痛みに苦しみます。膀胱がんでした。
(中畑)怖かったですね。でも、夜中2時頃に、「ここは教会だ」と気がついたんですよ。それで2回から広前へ降りてきて、一人でご祈念してみようと思って。それでやってみたんです。
(ナレ)中畑さんは、神様のお名前である「生神金光大神様」とくり返しお唱えしていました。
(中畑)ずっと続けていたら、肩からすーっとなでられるような感覚があったんですよ。それはもしかしたら汗だったかも知れない。夏でしたからね。それはなんとも言えない感じがあって、それが僕にはなでられたように感じた。そうしているうちにいよいよおしっこが出る。ぱんぱんだからちょっと油断しただけで、ダーって出たんですよ。「出たー!」と思いました。「すごい神様!」って。
そこからですよね、変わっていったのは。これは、お前このままじゃあかんでって。そう、これが神様の存在っていうんですかね。
(ナレ)神様の存在を実感し、中畑さんは、ものの見方が変わっていきます。
(中畑)後から考えれば、ほんとに病気をとおして今自分があるんだからって。悪いことは起こってきたけれど、それが良いほうへおかげを頂いたということになっているんだろうなと思います。今まで僕はそんなことは全く考えもしない生き方をしてましたから。自分本位だし、好きなように夜は酒飲みに行って、儲けたお金はほとんど使って、月末にはほとんどない。ろくな生活していなかったんですよ。それから比べれば雲泥の世界に飛び込んできている。信心でないとできない。病気がなかったらだめだったかも知れません。
(ナレ)その後中畑さんは、手術をしました。そして、このことをきっかけに人生の軌道修正をしていくことになり、神様がぐっと身近な存在になっていきました。
(中畑)受け損なっているんですよ。神様が教えてくれたんだなと思いましてね。大きな事ばっかりに目が行くかも知れないけど、そうじゃない。もっと身近な、ほんとに身近にいて教えてくれてるんじゃないか。それを受け損なっているのが、普段の私たちであって。だから本当に身近にいるんだよって実感するんですね、そういうのってね。やっぱり稽古しないと、うっかりしちゃうんじゃないかなと思うんですよ。身近にいます。必ずいます。身近にね。
(ナレ)その後も、思わぬことが起きてきました。独立する以前からずっと付き合いのあったお客さんに、発注のミスが重なり、出入りを禁止されるという出来事がありました。が、神様の思いを受け損ねることのないよう信心の稽古を進める中で、思ってもいなかった国土交通省の仕事、車検場の仕事を新たに請け負うことになったのです。
(中畑)ほんとすごいな。仕事のこと、すべてのことが何か道筋があって歩いているっていう。それで、これからどういう展開になっていくんだろう。この1年がすごく楽しみであるんですけどね。
(ナレ)金光教を全く知らなかった中畑さんが、神様に導かれて、神様の敷いた道筋を歩み、どんなことでも、Welcome! 神様を信じ、先を楽しみに思う気持ちが、あの素敵な笑顔になっているのだと思わされました。