シリーズ「あなたへの手紙」第1回「①生きる楽しみがない/②整形しようかな」


あなたへの手紙

第1回「①生きる楽しみがない/②整形しようかな」

金光教放送センター


 おはようございます。大阪府にあります、金光教おおとり教会の工藤由岐子くどうゆきこと申します。
 まず最初のお悩みは、65歳の祐一ゆういちさんからです。

「退職し、年金生活が始まりましたが、振り返るとうれしいことなどほとんどない人生でした。家族を支えるために、小学生の時から新聞配達をさせられ、寝たきりの祖父母の介護も手伝わされました。会社でもパワハラに耐えながら安月給で働かされました。そして一昨年、妻とは死に別れ、子どもたちも独立して家を出ていきました。寂しさもあり、生きていく楽しみが見出せません…。」

 このようなお悩みです。

 私はお話を聞かせていただいて、じわーっと涙が出ました。祐一さんは、これまで本当に辛抱して頑張ってこられたんですね!会社でのパワハラというのは納得できませんよね。改善策があれば良かったのですが、よく続けてこられたと思います。
 そしてその後は、奥様が亡くなられて、子どもさん方も独立されたのですか。家族が減るというのは環境の大きな変化ですね。お察しします。しかし、祐一さんは結婚して子どもさんを立派に育てあげられたのですから、そこは自信を持ってください。
 それに、昔、小学生のあなたが朝早く新聞配達をしている姿を見て、勇気をもらった人もきっといたと思います。しかも、おじいさんおばあさんの介護のお手伝いもされて、ご両親さんはどれだけ祐一さんに助けられたことでしょう。あなたは「させられた」と言いますが、それができたのは、あなたが優しい人だからだと思いますよ。そして、たくさんの人のお役に立っている。祐一さん、これまで本当にお疲れ様でした!あなたが頑張ってこられたことは神様が見ています。
 これからは、祐一さんの第二の人生を送ってください。あなたは優しいし、まだまだこれから出会いも、楽しいこともありますよ。何か、やってみたかったけどできないままになってることはないですか。同じ趣味を持つ人たちの集まりに参加してみるとか。それぞれに皆、山あり谷ありの人生があったと思いますし、共感できる所もあるんじゃないでしょうか。
 お悩みを聞く限り、体の病気はなくて良かったですね。お体はもちろんですが、心も元気になっていただきたいです。もしも、まだモヤモヤして何もできないということでしたら、教会に一度来られて、胸のうちを吐き出してみてください。どんなことでも聴かせていただきます。スッキリすると前にも進めますよ。祐一さんがどうぞ、これからの人生を楽しく送れますようにと、お祈りしています。

 次に紹介しますのは、46歳のめぐみさんからです。

「私の娘は大学一年生です。高校生の時はほとんど休みがないほど部活に打ち込み、受験勉強の方も頑張ってきました。それは嬉しかったのですが、大学生になった途端、お化粧に時間をかけるようになりました。鏡ばかりのぞき込んでいるなあと思っていたら『私、整形しようかな…』と言い出しました。それを聞いて、健やかな体に手を加えることや、見た目をこんなに気にする娘になったのかと思うと悲しくなりました。どう考えればいいでしょうか」

 このようなお悩みです。

 親というのは、子どもがいくつになっても心配しますよね。私にも娘がいますので、お気持ち、よく分かります。
 お話によると、高校時代の娘さん、遊ぶ暇がなかったようですね。ずっと真面目にやってこられたんでしたら、大学生になった途端に解放されて、心が自由になりますよね。お化粧に時間をかけるぐらい、気持ちに余裕ができたんでしょうね。お年頃でもありますし、自然なことやと思います。大学に行き、周りを見ますと、きれいなお姉さんも多いですからねえ。ところで恵さんが気になっているのは、娘さんが「整形しようかな…」と言ったことですよね。だけど親の前で言っている時点でかわいいです。まだつぶやいてるだけかもしれませんよ。しばらく様子を見ましょう。もし本気のようでしたら、そのことを頭ごなしに否定しないで、まず娘さんの話をちゃんと聞いてあげて、その上で、恵さんの正直な気持ちも言えばいいと思います。親としては、見た目ばかりじゃなく、内面から出る美しさも大事にして欲しいですよね。でも私が思うに、娘さんは高校時代、休みが無いほど部活に打ち込み、受験勉強も頑張ってきたのですから、内面から美しい人やと思います。その努力が実って大学生になり、おしゃれに目覚めていく…。これって順調に成長されている証じゃないでしょうか。有り難いことだと思います。
 そういえば私も、昔、顔のパーツを気にしてたことがありました。ぱっちり二重の目になりたいとか、鼻を小さくしたいとか思ってました。だけど当時、整形という言葉はあまり聞かなかったので、そういう発想にはなりませんでした。もし私も今の時代に生まれていたら、鏡の前でしょっちゅう、「整形しようかな」とつぶやいていたかもしれません。ま、昔から怖がりですから、思うだけで終わったでしょうけどね。
 娘さんは今、キラキラした青春時代を送っておられます!素敵です。今日の日まで、娘さんが健やかに育ってきたことを喜ばせてもらいましょうね。お母様とすれば何かと心配はあるでしょうが、どうか、あたたかーく見守っててあげましょう。

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