●シリーズ「あなたへの手紙」
第1回「障害のある人は可哀想?/子の不登校」

金光教放送センター
おはようございます。大阪府・枚方教会の四斗晴彦です。
今日はまず、40代の女性・Aさんからのご質問です。
「障害のある人を見て可哀想と思ってしまいます。可哀想と思うこと自体が失礼なのではないかと思うのですが、障害を持っている人は不幸なのでしょうか?」
このようなご質問です。
3年前、多くの障害者が殺されてしまうという痛ましい事件があったことは記憶にも新しいところです。その事件の後には、「障害者は不幸なんかじゃない」、「障害を抱えていても、本人も家族もこれだけ幸せなんですよ」という多くのメッセージがあふれ、私も「そうだよなあ」と共感したものです。しかし同時に、障害者は不幸であるとか、幸せであるとか、そのように第三者が感じたりすることは、どこか障害を特別に見ている自分に気付かされたんです。Aさんと同じような見方をしていたんですね。
昨年私は、知的障害のお子さんを抱えたある男性の講演会に参加し、そこで語られたことにすごく納得したんです。それは、その講師がお子さんと一緒に回転ずしを食べに出掛けた時の話です。子どもが貝のおすしばかりを手に取っておいしそうに食べているので、この子は貝が好きなんだと自分は思い込んだけれども、違う日にまた回転ずしに行くと、今度はその貝のおすしには全く興味を示さなかったというんです。そこでお父さんは気付きます。当然、誰もがその日の気分によって、何を食べたいかは変わるわけです。障害を抱えていてもそれは同じことで、当然、その日の感情や気分があって、日によってそれは変わるわけです。
あるドキュメンタリー番組で、障害を抱えた我が子を介護しているお母さんが、どうしても「障害者イコール笑顔」というイメージで見ようとする世の中に対して、「普段は笑っていないことも多いし、体調によっても違います」と語っていたことを思い出しました。
私の教会にも、知的障害の女の子を抱えたお父さんが、よく2人でお参りなされます。私は、いつもニコニコしている彼女しか知りませんが、お父さんにお話を伺うと、機嫌の悪い時には教会には連れてこられないし、一日中暴れまくる時もあることを教えてくれました。
障害を抱えていようがいまいが、同じ人間なんですね。幸せな気分になったり、不幸せな気分になったり、どちらでもなかったり。ただ特性が違うだけなんです。大切なことは、一人ひとりの違いを理解し合い、支援し合っていく取り組みが必要なのではないでしょうか。
次は、同じく40代の女性・Bさんから頂いたお悩みです。
「息子が小学校で担任の先生との相性が悪く不登校です。どうしたらいいでしょうか?」
このようなお悩みです。
Bさん、はじめまして。この内容だけでは、どんな状況で、これまでBさんがどのように取り組まれたのか分かりませんが、随分と心を痛めておられることとご推察します。学校とも相談され、不登校をサポートする団体なんかも利用し、不登校経験者の声をインターネットや書籍なんかでたくさん読まれたんではないでしょうか。その上で、宗教がどのようにこの問題に答えてくれるのかをお聞きしたいものとして回答しますね。
息子さんが担任の先生と相性が悪いんですね。学校に行かなくなってしまうぐらいですから、相当に息子さんは思い悩んでいることでしょう。ですから、「学校に行ってほしい」という親の思い、それが息子さんをさらに苦しめることにならないようにしてあげてください。息子さんの心の内に、しっかりと寄り添ってあげ、一番の味方でいてあげるのが第一です。
そして、「学校に行ってほしい」という思いがおありなら、それはなぜでしょうか。学校に行ってないと将来が不安で…。当然、そう感じるかもしれません。でも、学校へ行きさえすれば立派な人生を送れるとは限りませんし、何が立派かも決まっているわけではありません。本人が何か好きな道を見付けて楽しく生きていくことができれば十分です。どうしたら学校へ行ってくれるのかを考えるのはいったんやめて、「学校へ行かない道もありだよね」ぐらいの見方をしてあげてください。世の中の常識にとらわれない、それが宗教的な構えです。それに本当に担任の先生との相性だけが原因なら、クラス替えがありますし、気楽にその時を待てばいいのではないでしょうか。焦らないことです。
といっても、人間、そう簡単に感情をコントロールできるわけではありませんので、少しでも心を安定させるために、同じ悩みを共有できる人とつながりを持つことは大事です。どうしても苦しい、つらい時には、各地の金光教の教会には、悩みを聞く教師がおりますから、1度訪ねてみるのもいいですよ。不登校の専門家ではありませんが、宗教者と色々な話をする中で何か大切な気付きを得られると思います。
Bさん、どうか自分自身を責めず、息子さんも責めず、ここからの展開を見守っていきましょうね。