シリーズ「天地は語る」第2回「当たり前って、当たり前?」


●天地は語る
第2回「当たり前って、当たり前?」

金光教放送センター


(ナレ)「大きなことはお願いし、このくらいは構わないということはない。神には、大きいこと小さいことの区別はない。何事にも神のおかげをいただかなければならない」  
 これは、金光教の教祖、金光大神こんこうだいじんの教えの一つです。今日はこのみ教えについて、先生にお話をお伺いします。

(聞き手)先生、このみ教えによれば、「大きいこと、小さいことの区別はない」んですよね?
(先 生)ええ。
(聞き手)でも、困ったこととか、辛いこととか、そういう「大きいこと」があるからこそ、神様にお願いするのではないですか?
(先 生)そのとおりですねえ。困ったことや辛いことを神様にお願いするのは、とても大事なことです。あなたは、最近、何かお願いされましたか?
(聞き手)そうですねえ…些細なことのように聞こえるかも知れませんが、口内炎のことです。
(先 生)口内炎ですか。
(聞き手)ええ。我慢しようと思えば出来るんですが、ピリピリと痛みが走って、嫌なものですよね。その口内炎が、舌、しかも、その裏側に出来てしまったんですよ。
(先 生)舌の裏側にですか。それは痛そうですね。
(聞き手)はい。話す時も、食べたり飲んだりする時も、それに、口をすすぐ時でさえ、舌は、口の中でいつも動いているんですねえ。だから、その度に、口内炎が、食べ物や歯に触れて、痛みが走るんです。とにかく、いつも痛むので、思わず「早く治して下さい」って、お願いしていました。
(先 生)なるほど。口内炎は、あなたにとって「大きなこと」だった、というわけですね。
(聞き手)ホント、大変でした。何日も痛さが続くので、だんだんと、治して欲しいというよりも、「せめて、ちゃんと話したり、食べたりできるようにして下さい」ってお願いしていました。
(先 生)そうですか。口内炎のおかげと言っては何ですが、大切なことに、あなたは気が付かれたんですね。
(聞き手)え、何にですか。
(先 生)「舌」のおかげで、話したり、食べたりということが、何の意識もせずにできていたんですよね。そういう「当たり前のことが出来るのは、すごいことだったんだ」と気が付かれたんでしょう。
(聞き手)そうなんです。あ、このみ教えで、おっしゃっていることって…。
(先 生)口内炎といえば、一見小さなことのよう。しかし、あなたには大問題だった。しかも、そこから見えてきたものは、更に大きい。ですから、「大きいこと」「小さいこと」なんて、簡単には分けられないんです。
(聞き手)なるほど、そうですね。思うようにならないことは、「大きなこと」だと思うし、放っておいてもできる、自分で何とかなると思うことは、「小さなこと」にしてしまいやすいんですね。
(先 生)そうなんでしょうね。「大きなこと」「小さなこと」を勝手に決めて、「こんなことお願いしなくてもいいだろう」というあり方は、自分の力だけで生きられるという、思い上がりからくるものです。「事柄の大小」や、「お願いすること・しないこと」の区別をせず、どんなことでもお願いしていくことを、このみ教えから、つかんでいただけたらと思います。
(聞き手)はい。
(先 生)でも、その時に、忘れてはならないことがありましてね。
(聞き手)はい?
(先 生)実は、私たちが願うより先に、神様の方から、私たちの助かり、立ち行きを願ってくださっているんですよ。
(聞き手)神様の方が、先に願ってくださっている…と?
(先 生)食べたり、飲んだり、話したりという当たり前のことが、当たり前にできていたのは、神様が先に願ってくださっていたからなんですよ。当たり前って、「大きなこと」ですね。
(聞き手)そうですねえ。今、み教えについてのお話を伺いながら、「気が付かない細かいところにまで、神様の働きが及んでいたから、生きているんだな」っていうふうに、思いが広がってきました!
(先 生)そう、その思いを、いつも持っていてくださいね。
(聞き手)はい、忘れないようにしたいです!
(先 生)もう一つ、このみ教えにかかわってお話ししておきたいのは、お願いをしているうちに、その祈りの中身が、変化する、深まっていくということなんです。
(聞き手)どういうことですか?
(先 生)これは、私の体験なんですが、小学4年生の時のことです。私は、小児ぜんそくの発作に悩まされていました。発作が起こるといつも、両親が、背中をさすりながら、神様にお願いしてくれていたのですが、ある晩、「自分でお願いしよう」と思ったんです。
(聞き手)どうなりましたか?
(先 生)ゼーゼーという自分の呼吸音に耳を澄ましながら、「良くなりますように…」とお願いしているうちに、「苦しいけれども、この一息一息のおかげで、ボクは生きているんだな」って、ふと思ったんです。一息吸っても、「ああ、よかった、生きてる」、一息吐いても、「ありがたいなぁ」って、そんな思いになることができ、いつの間にか、眠っていました。
(聞き手)先生は、この時に、「神様なしには生きられないんだ」って、気が付かれたんですね。
(先 生)はい。とても大切な、忘れられない体験です。今日のみ教えにあるように、どんなことも、神様にお願いしていくと、新しい世界が開かれていくところが、信心の味わい、面白みだなあと、私は思っています。
(聞き手)信心って、奥が深いですねえ。今日、教えていただいたように、何でも神様にお願いしながら生きていけば、もっと、幸せに生きられそうですね。
先生、今日はありがとうございました。
(先 生)はい、ありがとうございました。

(ナレ)「大きなことはお願いし、このくらいは構わないということはない。神には、大きいこと小さいことの区別はない。何事にも神のおかげをいただかなければならない」  
 今日は、このみ教えについて、お話をお伺いしました。

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