●天地は語る
第4回「水の恩」

金光教放送センター
(ナレ)「水が毒というが、水を毒と思うな。水は薬という気になれ。水がなくては一日も暮らせまい。水の恩を知れ」
これは、金光教の教祖、金光大神の教えの一つです。この教えについて、先生にお話をお伺いします。
(聞き手)先生よろしくお願いします。
(先 生)こちらこそよろしくお願いします。
(聞き手)まず最初に聞きたいんですが、水が毒というのは一体どういうことなのですか?
(先 生)そうですね、今はあまり聞きなれないでしょうね。教祖様から教えを受けたこの方は、行商をされていたのですが、胃腸が弱かったので行く先々で飲む水には特に気を付けていたのです。それで、上水道の無い時代のことですから、気を付け過ぎるあまり、飲んでも大丈夫だろうかと不安に思い、まるで水を敵のように思っていたそうです。
(聞き手)そうなんですか。でも先生、私でも水には気を付けていますよ。子どもの頃は平気で水道の水をがぶがぶ飲んでいましたが、今はいったん沸騰させたものを冷まして飲んだり、出先ではミネラルウォーターをわざわざ買って飲んだりしていますよ。
(先 生)そうですね。環境破壊などが進んで、今は教祖様の時代とは違った意味で、安全でおいしい水を頂くのも難しくなっているのかもしれませんね。
(聞き手)そのとおりですよ、しっかりお金は払ってるんだから、もっとおいしくて安全な水でないと困ります。
(先 生)あなたは水にお金を払っていますか?
(聞き手)はい、ちゃんと払っています。
(先 生)確かにあなたは水道代は支払っているでしょう。でも、それは水道の設備やそれに携わる方々の働きに対して支払っているだけで、「お水そのもの」にはお金を出していないでしょう。
(聞き手)そう言われるとそうですが…。あっ、思い当たることがあります。私の知り合いの方で、自分の家の庭に最近井戸を掘った人がいるんです。その人が自慢げに「うちの水は使い放題ですよ、それもただなんです」って近所の人に言ってるんです。そして、これ見よがしにじゃんじゃん使ってるんです。私は何かもったいない気がして…。
(先 生)あなたのそのお気持ちが大事なのです。まず、水は天地のお恵みだということを分からなければなりません。私たち人間はもちろん、色々な動物や植物も、命あるものは水が無くては生きてはいけません。それ程大切なものであるにもかかわらず、それを抜きにして、この水はいい、この水は悪いということは思い上がった考え方ではないでしょうか。教祖様はここのところをまず伝えたくて、毒と薬という分かりやすい表現を使って教えたのではないでしょうか。
(聞き手)はい。
(先 生)教祖様から教えを受けたこの方は、一生涯、水を天地のお恵みとして頂き、水を悪く言わなかったそうです。
(聞き手)えっ、それはどういうことですか?
(先 生)「水あたり」ということや、「水害」という言葉も使わなかったみたいですね。水そのものが決して悪いのではなくて、水は神様からのお恵みと頂ききったのでしょうね。まさに水の恩を忘れなかったのでしょう。
(聞き手)水が無くては生きてはいけない。そう言われると本当にそのとおりですね。私も小さい頃、母に注意されたことを思い出しました。
(先 生)どんなことを言われましたか?
(聞き手)私が水を出したまま歯を磨いたり、顔を洗ったりしているのを見て、もったいない、水を大切にしなさいって何度も言われました。そのおかげで、今はこまめに蛇口を閉めていますが、私の子どもたちは、やはり水を出しっぱなしで使っています。これからはちゃんと注意していこうと思います。
(先 生)そういう小さいところから意識していくことは大事ですね。水は蛇口をひねればいくらでも出ますが、天地のお恵みと有り難く思い使っていくと、無駄遣いをしなくなりますよ。
(聞き手)はい、分かりました。
(先 生)昔の話ですがね、お湯がたっぷりある温泉に行っても、洗面器に3杯しかお湯を使わない先生がおられたそうですよ。一緒に行った方が、ここは温泉だからどんなに使ってもお湯は無くなりはしません、どんどん使って下さいと勧めても、決して3杯以上は使われなかったと聞きます。
(聞き手)たったの3杯ですか? どうやって洗うのかしら? 私にはとてもできません。
(先 生)私も無理ですよ。でも、その先生は水の恩に対するお礼や慎みの気持ちを、そうやって表していたのだと思います。だからこそ、お湯がたっぷりある温泉に行っても、いつものとおり3杯しか使わなかったのです。
(聞き手)そうなんですか。先生、私も工夫をしてみます。
(先 生)それはいいことですね。でも、単なる節約に終わるのではなく、水へのお礼の気持ちを表していくことが大切ですよ。
(聞き手)はい、水をお恵みとして大切に使わせていただきます。
(先 生)それから水だけでなく、あらゆる天地のお恵みにも感謝していきたいですね。
(聞き手)そうですね。先生、今日はありがとうございました。
(先 生)こちらこそ、ありがとうございました。
(ナレ)「水が毒というが、水を毒と思うな。水は薬という気になれ。水がなくては一日も暮らせまい。水の恩を知れ」
今日はこの教えについて先生にお話を伺いました。