私が彼に惹かれた理由


●信心ライブ
「私が彼に惹かれた理由」

金光教放送センター


(ナレ)金光教の集会で行われた発表や講話などを録音でご紹介する『信心ライブ』。今日は、神戸市の豊原慶子とよはらけいこさんが『青年の集い』で発表されたお話を、ごく一部ですが、お聞き頂きましょう。

(豊原)そしてその会社で主人と出会いました。これが私と金光教との初めての出会いでした。  
 ここからはちょっと恥ずかしいんですけれども、彼に惹かれた理由をお話しさせていただきます。主人のことを「この人すごいなあ」と思ったのは、まず、人が嫌がることをとにかく率先してやるんですね。重たいものは自分が持つ。ゴミが落ちていたらそっと拾ってゴミ箱に捨てる。とにかく人の見えないところでさりげなくするその行動が「へーえ、この人すごいな」というふうに思わせてもらいました。  
 今までは「これ、やってやったぞ」と言う人にはいくらでも出会ったんですけれども、人の見えないところをやって黙っているという人に出会ったのは初めてでした。それで「この人、いい人やな」と思ったのと同時に「この人をこんなにいい人にしたのは何やろな」というのも同時に思いました。先輩であった彼は、私がやっぱり慣れないことや不安なことがあって思い詰めていると「いくら体が元気で働いていても、心が元気じゃなかったらあかんねんで」と一言ポツッと言ってくれました。私はその言葉を聞いて、これは私の価値観を大きく変えてくれる一言でした。  
 ご縁を頂いてお付き合いをするようになってしばらくして、実家から通っていた彼が「うちに来る?」と言ってくれたので、遊びに行かせてもらうことにしました。ケーキを買って神戸に向かい「ここやでー」と言うのでフッと見ると「金光教」という看板が出ていました。「え、何かされているの?」と聞くと「うち教会やねん」と、サラッと言うんです。彼は別に隠しているつもりはなかったらしいんですけれども、会社のみんなが知っているから当然私も知っているだろうと思い込んでいたみたいです。  
 今でもこういうことがよくありまして、自分は言ったつもりが言っていなかったということが、ちょっとよく夫婦間でもあるんですけれども、この時も一番重要なことを聞いていなかったんですね。  
 それでも初めて教会にお邪魔した時は、ほんとに家族、今、教会家族、あの、おばあちゃんも当時はいまして、みんなで迎えてくれました。たまたまその時、嫁いでいた義理の姉も遊びに来ていました。私は不思議とその雰囲気がとても心地良くて、玄関で迎えてくれた義母ははの笑顔を今でもはっきりと思い出します。  
 結婚する相手と巡り会ったらよくビビッとくるって言いますけれども、私は彼には感じなかったんですけれども、その家族の雰囲気に囲まれながら「ああ、私この家に来るかなあ」ということを不思議と感じていました。  
 そしてまた、主人はといえば、その日にちょうど地区の寄り合いがあるからと言って、私を家族に紹介してしばらくすると、私を置いて寄り合いに行ってしまいました。今でも何でそんな日に私を誘ったんかな、というのは不思議なんですけれども。それからは、私と家族とでいろんな話をしました。私が彼の会社でのあり方をお話ししたり、彼の小さい時の話をしたり、ほんとに話が盛り上がってとても楽しかったです。  
 しかし、待っても待っても主人は帰って来ないんですね。それで結局、遅くに京都まで一人で帰らすわけにはいかないということで、教会の家族の計らいで、その日は教会に泊めていただくことになりました。しばらく私も一人暮らしをしていましたので、私はほんとに温かい雰囲気を久しぶりに味わわせていただきました。  
 それからは2人の会話の中でも、自然と教会のことを聞いたりですとか、いろんなことを聞く機会が増えたんですけれども、私は何よりそれで感動したことは、彼がサラッといつも「お願いしとくわ」と言ってくれるんですね。そのさりげない彼の言葉なんですけれども、私たちの普通の一般の生活でしたら、元旦に神社に行って、年頭のお願いですね、自分のこととか、まあせいぜい家族のことをお願いしますけれども、人様からお願いをしてもらえる、祈ってもらえるということが初めての感覚でした。  
 今日もこういう発表するということで、教会家族も主人も祈ってくれていると思うんですけれども、そのことがですね、やはり祈られることが当たり前ではない人間からしたら、ほんとに大きな心の支えになるんです。ですからまた余計そこで「この人いい人やなあ」ということで「お願いしとくわ」と言われる度に、ええ人やなあと思って惹かれていきました。そしてご縁を頂いて結婚することになりました。

(ナレ)金光教のことをまったく知らなかった豊原さんですが、こうしてご主人に出会われたことから、教会に嫁がれることになり、現在は会社を辞めて、ご主人と共に金光教の布教に携わっています。  
 豊原さんが最初に感じたご主人の魅力は、人に対するさりげない思いやりでした。そしてこれが、信心のある温かい家庭の中で培われたことを、ご家族に出会った時に直感されたのでした。  
 金光教には、こういう教えがあります。 「自分のことは次にして、人の助かることを先にお願いせよ。そうすると、自分のことは神がよいようにしてくださる」。  
 人の役に立ちたいという気持ちは誰にでもありますが、どこかで見返りを期待する心が働いてしまうのでしょう。つい恩に着せたり、人が見ていないと損をしたような気持ちになったりしがちです。けれども「神様がよいようにしてくださる」という絶対の信頼と安心感が、人間の優しさをしっかりと支えてくれるのです。  
 「体だけじゃなく、心も元気でなければ」というご主人の言葉がありました。この“心の元気さ”も、神様に守られているという実感から来るのでしょう。  
 今日一日、私たちも、元気な心で過ごしたいですね。

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