●天地は語る
「神様と仲よく」

金光教放送センター
(ナレ)「人間が神と仲よくする信心である。神を恐れるようにすると信心にならない。神に近寄るようにせよ」
これは、金光教の教祖、金光大神の教えの一つです。今日はこの教えについて先生にお話をお伺いします。
(聞き手)先生、よろしくお願いします。
(先 生)こちらこそ、よろしくお願いします。
(聞き手) 率直な感想なんですが、私、神様のことを、「困った時にお願いする相手でしかない…」と思っていましたから、「仲よくする」なんて言われると、何だか人間同士みたいで新鮮に感じました。
(先 生)なるほど。人間同士のような神様との関係って、面白いでしょ。
(聞き手) はい。
(先 生)私は、「神と仲よく」ということで、いつも思い出すことがあります。娘との思い出なんですが、私の娘が、まだ幼稚園に入るかどうかというころに、こんなことがあったんです。
(聞き手)はい。
(先 生)ある朝、教会で、娘と一緒にお祈りしていました。とてもいいお天気でね、外を通る車のガラスで反射した太陽の光が、障子窓にキラキラと輝くんです。それを見た娘が、「お父さん、神様が来てくれてるよ」って、とても嬉しそうに言ったんです。娘が、幼いなりに神様を身近に感じ取っているのが分かって、うれしくなりました。今は少し難しい年頃で、「神様なんか…」って言ってますが、それでも毎日神様に手を合わせていますよ。
(聞き手)可愛らしい姿が目に浮かびます。神様と仲良しなんですね。
(先 生)ええ。気持ちのいい太陽の輝きから、神様のぬくもりや明るさを感じ取ったんでしょうね。
(聞き手)そうかも知れませんね。
(先 生)今、ぬくもりと言って思い出したんですけどね、「この人たちは、神様と仲よしなんだなあ。ほっこり温かいなあ」って感じたお話を聞いて下さい。
(聞き手)はい。
(先 生)私の友人親子のことなんですけどね。高校って、お弁当を持って行くでしょう。お母さんに作ってもらってね。
(聞き手)ええ。
(先 生)ある朝、友人は、自分のお弁当と、お兄ちゃんのお弁当を間違えて学校へ持って行ったそうです。
(聞き手)はい。
(先 生)それで、その日家に帰ったら、お母さんに、「あんた間違えたやろ~」って、ちょっときつい口調で言われたそうなんです。
(聞き手)おかずが違っていたのでしょうか?
(先 生)いいえ。全く同じものだったそうですよ。
(聞き手)じゃあ、どうして…?
(先 生)お母さんは、友人にこう言ったそうです。
「私はあんたらを育てるのに、何の分け隔てもしてないよ。だから、もちろんお弁当も一緒や。だけど、兄弟でも、体調の良し悪しとか、張り切っているとか、ちょっと元気がないなとか、見てたら分かる。お母ちゃんは、それぞれのお弁当を作りながら、『お兄ちゃんは、今、こうですからよろしく、弟は、こうですからよろしく』と、毎朝神様にお願いしてるんよ。だから、一個一個違うお弁当なんよ。間違えんといてなあ」って、そう言ったそうです。
(聞き手)お母さんの愛情が伝わってきますね。
(先 生)ええ。友人は、このお母さんの言葉を聞いた時、お母さんが、お弁当を間違えたくらいのことで、きつい口調になった訳がよく分かったそうです。そして同時に、友人は気付いたというんですよ。
(聞き手)何にですか?
(先 生)「お母さんは、こんなに細やかに僕らのことを見て、祈ってくれていた。でも神様は、僕のこともお母さんのことも、兄やお父さんのことも、もっとちゃんと見ていて下さるのではないか。両親にも見守られてきたけれど、神様からも見守られてきたんだなあ…」ってね。
(聞き手)へー。高校生なのにすごいですね。
(先 生)友人は、小さい時から家族で教会へお参りしていましたからね。友人は、お母さんの親心を通して、神様のお心を感じ取り、神様にぐっと近付いたのだと思います。
(聞き手)はい。
(先 生)神様からも、愛され、祈られてきたことに気が付いた瞬間の驚き、そして、包まれるような安心感は、本当に大きなものだっただろうなあと思うんです。神様に近付くことで頂ける安心感は、毎日幸せを感じて暮らしていけるかどうかの、大きな鍵ですからね。…あのね、金光教の神様は、天地金乃神様といって、私たちに魂と体を与えて下さるいのちのもとなんですよ。例えて言えば、人間にとって親のような存在です。
(聞き手)神様って、人間の親なんですか。
(先 生)そうです。人間にとっての親ですからね、神様に対しては、子どもが親を慕うように、頼むことは遠慮せずに頼み、つらい時には甘えていけばいい。そして、自分は、どう生きてゆけば、親が喜び、安心してくれるか、親孝行ができるのかに力を注いでいけばいい。神様とは、そんな風に関わればいいですよと、そんな意味合いの教えだと思います。
(聞き手)なるほど。
(先 生)今、親子関係のもつれから起こる事件も多いですが、私はね、子どもを大切に思うがあまりの、悲しい出来事だと思うんですよ。
(聞き手)と言いますと…?
(先 生)我が家でもそうですが、子どものことを必要以上に心配し、言わなくてもいいことを言ってしまったりする。それが元で、親子関係にひびが入ったりもするものです。
(聞き手) 私もよくケンカしました。
(先 生)子どもの成長とともに、その年齢に合わせた関わり方を求め続けていくことが、よい親子の関係には欠かせませんよね。
(聞き手)そうですよね。
(先 生)私はね、神様と私たちの関係も、同じではないかなあと思うんです。仲よくなりたいなあと思いながら、よりよい関係を求めていけば、どんどんいい間柄になれるのではないでしょうか。
(聞き手)そうなんですね。先生、今日は心温まるお話をありがとうございました。
(先 生)こちらこそ、ありがとうございました。
(ナレ)「人間が神と仲よくする信心である。神を恐れるようにすると信心にならない。神に近寄るようにせよ」
今日はこの教えについて先生にお話をお伺いしました。