シリーズ「あなたへの手紙」第4回「①お役に立つとは?/②誰もが神様の愛しい子?」


●あなたへの手紙
第4回「①お役に立つとは?/②誰もが神様の愛しい子?」

金光教放送センター


 皆さん、おはようございます。
 南に黒潮香る太平洋が広がる高知県高知市にあります、金光教高知こうち教会の道願正美どうがんまさみと申します。今日初めて担当させていただきます。
 まず初めに、香川県にお住まいの明子あきこさんからの質問です。

 「私は今年で80歳になりました。先日、誕生日のお祝いを子どもたち、孫たちにしてもらってうれしい気持ちでいっぱいです。けれども、あることを思うと心から喜べないのです。あることとは何かと申しますと、今の私には人のお役に立つことが何も出来ていないという現状です。昨年までは人のお世話をたくさんさせてもらい、周りの人たちに喜んでもらってきました。ところが今年初めに突然の病を患ってからは、人のお世話になりっぱなしの私です。
 こんな今の私でも何か人のお役に立つことが出来ればと思うのですが…」

 
 こういう内容です。

 明子さんの言われる「人のお役に立つ」ということ。私は金光教の教会で生まれ育ちましたので、小さい時から両親に、「人のお役に立つ人になりなさい」とよく言われてきました。ですから50歳になる今でも人のお役に立つことをいつも考えています。明子さんもおそらく人のお役に立つことを人生の大切な目標として今日まで歩んでこられたんですね。
 明子さんは、自分が高齢で病気になったから、人のお役に立つことが何も出来ないのではないだろうかと心配しているようですが、そんなことは決してありません。80歳のお祝いをご家族皆さんにしてもらったことでも、ご家族の絆に大変お役に立っているのではないでしょうか。
 私の教会には、今まで何度も大病を患った88歳になる女性の方がお参りされています。
 この方は、「先生、私は毎日畑で取れた野菜を家の前に並べてその横に座っているだけですが、たくさんの人が集まってくれて、私と話をすると楽しい、私の笑顔を見ると元気になると言ってくれます。野菜もたくさん買っていってくれます。私の笑顔、そんなにいいですかね」と、いつもそう話しては大笑いして帰って行きます。この方は、体の元気はもとより心の元気も頂いて、笑顔で人と話をすることで人のお役に立つ自分というものを見つけているんですね。
 笑顔は誰にでも出来る心の輝きです。その場を明るく和ます力を持っています。明子さんも、どうぞ笑顔でもって元気にご家族や周りの方々と接してみることを心掛けて下さい。明子さんの笑顔が温かい光となって、人のお役に立つことは間違いありません。

 続いては、17歳の男子高校生からの質問です。

 「僕の親友は、金光教の教会に住んでいます。今までに何回か誘われて教会のキャンプやバザーに参加させてもらいました。その折に親友は、『人間はみんな神様の愛しい子どもなんだ』とよく話してくれます。ところが僕にはそうは思えません。今まで世の中にはたくさんの可哀想な犯罪事件が起きています。近年には、誰かの命を奪えば自分も死刑となって死ぬことが出来る、といったような自分勝手な考え方で起きた事件などもありました。僕は、そんな事件のことを考えると、親友の話に納得できないのです。どんな罪を犯した人でも、みんな神様の愛しい子どもなのでしょうか?」

 こういう内容です。

 質問ありがとうございます。あなたの純粋な思いが真っすぐに伝わってきます。私にはあなたと同じ17歳の息子がいるんですが、息子もあなたと同じ思いを私に言っていました。あなたの思いは無理のないことなのかも知れません。私にもその気持ちはよく分かります。
 でも、人間誰一人として罪を犯すことを望んで生まれてきた人はいません。
 「人はみんな、この世に神様の分身として命と神心かみごころとを授かっているのである。そして、誰であろうと神様の働きを現すことが出来る」というのが金光教の考え方です。神心とは、可哀想にと思う心そのものであり、思いやりや慈しみの心なんです。
 さまざまな罪を犯してしまう人たちは、人を思いやり慈しむという人間として生まれ持った神心が、自分中心の感情や欲望に負けてしまったのではないでしょうか。もしも罪を犯してしまう前に、神心を引き出してくれる誰かがそばにいてくれたら犯罪は起こらないのかもしれません。
 どうぞ「人間はみんな神様の愛しい子ども」という思いをもって生活してみて下さい。あなたの生まれ持っている神心がより大きくなって、あなたのご家族や友人、周りの人たちをさらに広く包み込んでいくと思います。また、そのことについて教会に住むあなたの親友と一度ゆっくり話し合ってみてはどうでしょうか。きっとより一層の友情が深まっていくと思いますよ。

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