シリーズ「天地は語る」第1回「今こそ天地の開ける音を」


●天地は語る
第1回「今こそ天地の開ける音を」

金光教放送センター


(ナレ)金光教の教祖である金光大神こんこうだいじんの教えに次のようなものがあります。
「今、天地の開ける音を聞いて、目を覚ませ」
今日はこの教えについて先生にお話をお伺いします。

(聞き手)先生、よろしくお願いします。
(先 生)こちらこそ、よろしくお願いします。
(聞き手)まず聞きたいのは、「天地の開ける音」ってどんな音なのかということです。先生はその音を聞いたことがあるんですか?
(先 生)そうですね、「天地の開ける音」ってどんな音か興味湧きますよね。私は、その音を聞いたことがありますよ。でも、そのことについては後でお話しますから、この教えを金光教の教祖がどのように伝えたのかを聞いて下さい。
(聞き手)はい。
(先 生)今から140年位前の話なんですが、今の岡山県倉敷市に住んでいたある方が、病気で目が見えなくなったんです。そこで、この方の代わりに奥さんが教祖様のところに度々お参りをして、数年後におかげを頂いて目が見えるようになったそうなんです。この方は本当にありがたく思って、教祖様のところへお礼のお参りを重ねていましたが、ある時、今日のみ教えである、「今、天地の開ける音を聞いて、目を覚ませ」と教祖様から言われたのです。
(聞き手)へぇ~そうなんですか。でも、目を覚ますも何も、見えない目が見えるようになったんでしょう。どうして教祖様はそんなことを言われたんですか。
(先 生)恐らくなんですが、目が見えるようになった喜びも、日が経つにつれてだんだん薄らいでいくと思うんです。そして、いつかは目が見えることが当たり前になってしまうんでしょうね。そこのところを教祖様は、「もっとはっきり目を覚ませよ。その目をもっと大きく見開いて、天地のお恵みやお働きを見極めていきなさいよ。ただ目が見えるようになっただけで止まってはいけないぞ」と諭されたんじゃないでしょうか。
(聞き手)なるほど、そうですね。ところでやっぱり気になるんですが、「天地の開ける音」ってどんな音なんでしょうか?
(先 生)はい、私が思いますに、一言で言えば神様の声なんでしょうね。私には毎日聞こえますが、あなたには聞こえませんか?
(聞き手)えっ、神様の声って…分かりません。聞こえるわけないですよ。
(先 生)そうですか、でも私には神様が私たち人間を生かそう生かそうとする声が聞こえるんですよ。
(聞き手)神様が私たちを生かそうとする声ですか?
(先 生)はい。それを私は、「天地の開ける音」だと思ってるんです。数年前のことですが、私は心臓病を患ってこれからどうしたものかと悩んでいた時期があったんです。病名は狭心症なのですが、病院の先生からは、この病気は完治しないから一生付き合っていくことになると言われたんです。それまでずっと健康だったので、自分が病気であることを受け入れることが出来ませんでしたね。
(聞き手)先生、そんな大変なことがあったんですね。
(先 生)もう目の前が真っ暗ですよ。でも、どんなに悩んだって、この病気からは逃げられないんだから、うまく付き合っていくしかないのかなあと。そんな時、ある朝目覚めて、何気なく胸に手を当てると、心臓の鼓動が聞こえたんです。その瞬間、「あっ、これは神様の声だ!」と思ったんです。ドクッ、ドクッ、ドクッという心臓の音が、「生きてくれよ。私が守っているぞ」という神様の声に聞こえたわけですね。その時確信したんです。これが、「天地の開ける音」だと。この瞬間まで心臓病のことばかりにとらわれていましたが、「私は生まれてからずっとこの心臓の鼓動と共に生きてきたんだ、神様が生かして下さって今があるんだ」とありがたく思えたのです。食べ物や水や空気などといった天地のお恵みがあり、また心臓の鼓動を始め血液の流れや内臓の働きや呼吸、そういった自分自身ではどうにもならない体の機能が毎日時々刻々に動いているからこそ、生きていられることを改めて感じて、本当に目が覚める思いがしたんです。今も毎朝目を覚ますと、手を胸に当てるんですよ。「ああ、今日も命を頂いて目が覚めたんだ。神様ありがとうございます」とお礼を言って、1日のスタートにしているんです。
(聞き手)先生、そうだったんですね。でも私だって心臓の鼓動は感じますが、それが神様の声とはちょっと…。
(先 生)まあ、そうですよね。「天地の開ける音」が聞こえる状況は人それぞれ違うと思います。人には、本当にありがたくて神様に感謝する時があると思うんです。神様から生かされているんだと心から実感することがあると思うんです。その訪れた瞬間こそが、「天地の開ける音」が聞こえる時ではないでしょうか。あなたにも、その時が来ると思いますよ。
(聞き手)本当に私にもその時が来るんですかね?
(先 生)今、その時が来ているかもしれませんよ。あるいは、もうすでに神様から助けられていたことがあるけれど気付いてない、目覚めていないのかもしれませんね。まずは、今、目を閉じ耳を澄まして、それから目を大きく見開いて、神様を感じてみて下さい。
(聞き手)そうですね、私も、「天地の開ける音」に耳を傾けてみようと思います。先生、今日はありがとうございました。
(先 生)こちらこそ、ありがとうございました。

(ナレ)今日は、「今、天地の開ける音を聞いて、目を覚ませ」という教えについて、先生にお話をお伺いしました。

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