シリーズ「天地は語る」第2回「人の時間・神様の時間」


●天地は語る
第2回「人の時間・神様の時間」

金光教放送センター


(ナレ)金光教の教祖である金光大神こんこうだいじんの教えに次のようなものがあります。
 「人は10年は長いように思うけれども、神にとっては、あちらを向いてこちらを向く時間ほどもない」
 今日はこの教えについて先生にお話をお伺いします。

(聞き手)先生、おはようございます。
(先 生)おはようございます。
(聞き手)今日はよろしくお願いします。今日のみ教え、なんか面白い表現ですね。「あちらを向いてこちらを向く時間」という表現が面白いなぁと思いました。
(先 生)そうですよね。私も同じように思いました。もっと格調高く表現出来るのにって。それでは、一緒にこのみ教えを考えていきましょう。まず、このみ教えを聞いてどんな意味だと思いましたか?
(聞き手)人間と神様とでは時間の感覚が違うという意味だろうなぁと思いました。
(先 生)では、「人は10年は長いように思うけれども」とありますが、やっぱり長いと思いますか?
(聞き手)う~ん、そうですね。長いと思いますね。僕は今、27歳なので、10年前はまだ高校生でした。その頃は1年中サッカーに明け暮れていて、気楽な身分でしたね。そんな僕が就職してサラリーマンになり、結婚して今は1歳の男の子の父親になりましたから、この10年の変化はすごいものです。そう考えると、人は10年を長いと思うでしょうね。
(先 生)特に変化の多い10年だったわけですね。10年後は37歳。もう中間管理職だったりして…。やっぱり10年は長く感じますよね。
(聞き手)十年一昔って言いますから、人の感覚では10年前は昔なんだと思います。
(先 生)その10年が、神様にとってはあちらを向いて、こちらを向くくらいの時間ということは、人間なら、ほんの何秒って感じですよね。ということは人間の10年は神様のほんの数秒に当たる、という意味でもありますね。でもね、私はある時、もう少し深い意味があることに気付いたんです。
(聞き手)深い意味って、どんな意味があるのですか。
(先 生)意味っていうより、私はこんなことを感じたってことかしら。ほら、ずいぶん前だけれど、ニュースで狂牛病が話題になった時があったでしょう。
(聞き手)えぇ。
(先 生)狂牛病っていうのは、牛の病気で、牛の脳がスポンジ状になって異常行動を起こすという病気なんですけれど、この病気にかかった牛の肉を食べた人が感染して、同じような病気になったというニュースが流れて、大騒ぎになったことがありました。
(聞き手)そうでしたね。それで? 先生は何を感じたのですか?
(先 生)狂牛病の潜伏期間が5年から10年もあるって聞いた時に、「あぁ、このことだ」ってこのみ教えが思い出されたんです。
(聞き手)潜伏期間って感染してから症状が出るまでの期間のことですよね。5年から10年なんですか。インフルエンザなら2、3日って聞いたことがありました。
(先 生)そう、だからインフルエンザはうつっていくのがよく分かりますよね。お兄ちゃんがインフルエンザにかかって熱が出た、2、3日したら弟も熱が出た。「あぁ、うつったね」とか言いますね。ところが、潜伏期間が5年から10年って言ったら、いつ、どんなふうにうつったなんて分からないですよね。10年前に食べたお肉が原因、なんて言われても困ります。
(聞き手)そりゃあ、10年も前の、いつ、どこで食べたお肉かなんて絶対分かりませんよ。1週間前だって、何を食べたって言われても分からないんですから。
(先 生)そうね。それで私はこう思ったんです。例えば、お腹が痛くなったとすると、「昨日の夜に食べたものが当たったかな」とか、「そういえばちょっとあれが臭かったかなぁ」とか考えることが出来るでしょう。それは人間にも分かるのだけれど、神様は10年前のことだって、ちゃんと分かるんだと思ったんです。だって、あちらを向いてこちらを向くほどの時間なんですから。
(聞き手)なるほど。
(先 生)私たち人間にとっては10年前なんて、すごい昔のことだけれど、神様にとっては10年前のこともほんのちょっと前のこと。私たちが、昨日食べ過ぎたからお腹が痛いって思うように、何でもつながっているわけですね。例えば、あなたが10年前、サッカーに明け暮れていた時に鍛えたものは今も身に付いているはずですよね。体力とか協調性とか、体育会系の礼儀正しさとか爽やかさとか。
(聞き手)考えたことはありませんでした。でも、そう言われると、うれしいです。サッカーでは、特に結果が残せなかったと思っていましたから。
(先 生)神様の目から見れば、あの時の努力がこうなったって、あの時のつらい経験がこう生きているって、ちゃんとつながっているのですよ。
(聞き手)なるほど。そうなんですね。
(先 生)そして、さらにこう思ったんです。神様にとって10年があちらを向いてこちらを向く時間なら、人間の100年間だって、全部お見通し。ところが、人間の世界では100年経てば、すっかり世代が変わっていくほどの時間ですね。ご先祖様の時のことなんか全く関係ないように思うけれども、神様の目からは、ちゃんと筋が通っているんだろうと思うんです。
(聞き手)そうかもしれませんね。つながっているには違いないですからね。
(先 生)だから、人間はずっと神様が見守って下さる中で、生きているんだってことを忘れないようにしなくてはいけませんね。目先のことに振り回されずに毎日を一生懸命に生きましょう。
(聞き手)なんか、シャンとしました。先生、今日はありがとうございました。
(先 生)こちらこそ。ありがとうございました。

(ナレ)今日は、「人は10年は長いように思うけれども、神にとっては、あちらを向いてこちらを向く時間ほどもない」という教えについて、先生にお話をお伺いしました。

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