●シリーズ「あなたへの手紙」
第3回「父の暴言/金光教のボランティア活動」
金光教放送センター
おはようございます。私は名古屋にあります金光教今池教会の浅野弓と申します。今朝は、18歳の女子高校生から、こんなお悩み相談を頂きましたので、一緒に考えていきたいと思います。
「時々、金光教の朝のラジオ放送を聞いています。金光教では、親孝行が大切とよく言ってますね。でも、私の父はとても短気で、何か気に入らないことがあると、すぐ『誰のおかげで生活していると思っているんだ。出て行け』と怒鳴るんです。もう、うんざりです。大学への進学を機に家を出たいと思うのですが、そうすると祖母の介護で疲れている母を見捨てることになるかなって思うと、踏ん切りがつきません。どうしたらいいでしょうか」
というご相談です。
ありがとうございます。
うーん、それは迷いますよね。お母さんを手伝って、おばあちゃんの介護をしているんでしょうか。優しいお嬢さんなんですね。でも、びっくりしました。まだ「誰のおかげで生活していると思っているんだ」と怒鳴るお父さんがいるんですね。昭和の時代のお父さんには多かったんですけれどね。そんなことを言われたら、「もう世話になりたくない。私一人でバイトしてでも、大学へ行く」と言いたい気持ちは分かります。「家庭内のパワハラ」ですよね。
でも、少し考えてみて下さい。お父さんは、あなたが生まれた時から今まで、ずっと家族のために働いてこられたのだと思いますよ。「誰のおかげで?」と言われたら、まさにお父さんのおかげで生活してきたのも本当なのです。そのことにお礼を言ったことがありますか? これから、お父さんがそんな暴言を吐いたら、腹は立つでしょうが、その腹立ちを、ちょっと押さえて、「それはお父さんが一生懸命働いてくれているおかげだと思います」と言ってみたら、どうでしょう。お父さんは、「ウム…分かればいい…」となるんじゃないでしょうか。きっとそれ以上は言わないと思いますよ。お父さんだって、あなたたち家族がいるおかげで、頑張ることが出来ているのですから。
さて、進学の件ですが、お母さんやおばあちゃんのことが気になるというなら、家を出ることはお薦めしません。もう少し、お父さんのすねをありがたくかじらせてもらったらどうでしょう。きっとお父さんもおばあちゃんもお母さんも喜んで下さると思いますよ。そして、家にいながらも、下宿したつもりになって、生活してみて下さい。お父さんとの関係も変わってくると思います。大学生活を楽しんで下さいね。
次はフリーターをしているという20歳の女性からのお尋ねです。
「ボランティア活動に興味があります。ネットで調べてみたら、色々なボランティア活動があって、迷ってしまいました。宗教団体のボランティア活動も多いようです。一般のボランティア活動とどこが違いますか? 友達は宗教団体のボランティア活動は、きっと入信させられるから怖いよ、と言うのですが、本当でしょうか? 失礼なことを聞いているかもしれません。ごめんなさい」
というお尋ねです。
ご質問ありがとうございます。
ちっとも失礼じゃ、ありませんよ。思いやりのある女性なんだろうな、って勝手に想像しています。私も、若い時から、色々なボランティア活動をしてきたんですよ。その初めは、フィリピンで裸足で生活している子どもたちがいるというニュースを知って、「何とかしたい!」って思って、古い運動靴を集める活動をしました。とてもたくさん集まったので、フィリピンにある金光教の施設に送りました。さぞ喜んでもらえただろう、と思ったのですが、後から施設の人たちに大変ご苦労を掛けたことを知りました。靴の大きさに合った子どもを探すのに大変だったとか、靴の好き嫌いで子どもたちがもめたんですって。もっと相手の身になって、活動すれば良かったなと反省しました。
また、靴を送る運送費がとても高かったのも痛手でした。それからは物を送る時には運送費の募金もお願いしています。私が今も、ボランティア活動を続けているのは、あの時の気持ちが原点です。若い時の色んな経験は全て宝物になると思いますよ。
さて、一般のボランティア活動と宗教団体のボランティア活動はどこが違うかというお尋ねでしたね。ボランティア活動の基本は、人のためになりたい、世のお役に立ちたいという思いの表れですから、そこは一緒だと思います。でも、強いて言ってみると、例えば金光教の場合ですと、人は皆、神様の愛し子、どの人も幸せになって欲しいという神様の願いがあることや、「人が人を助けるのが人間である」という教えが活動のベースになっているように思います。ボランティア活動を続けていくと、なかなかしんどい時もあります。そんな時には、こうしたベースがしっかりしているかどうかがかなり重要だと思います。
そして、入信を強要させられないかというご心配の件ですが、少なくとも金光教では致しません。金光教のホームページでも、色々なボランティア活動を紹介していますから、調べてみて下さい。
みんなで助け合って、住みよい世界を目指しましょうね。