●信心ライブ
「ピンチなんて関係ない」
金光教放送センター
(ナレ)金光教の集会で行われた発表や講話などを録音で紹介する「信心ライブ」。今日は、長野県・金光教赤穂教会の佐々木真雄さんが、平成26年10月20日、金光教玉水教会でお話されたものをお聞き頂きます。
(音源)私はですね、結婚が遅くて、46歳で結婚させて頂いて、51歳で長男を頂きました。小学校3年の時に、市内にあります、野球のリトルリーグというのに入ることに決まったんですね。私が60歳。
それで、せがれを連れてですね、そのチームに行きました。そしたらね、初めて会うコーチもある訳です。そのコーチに向かって、親子で帽子を取って、「よろしくお願いします」と、こうやってごあいさつしました。そしたら、朝日にここ(頭)が光ったみたいなんですね。それを見てかどうか分からないんですが、「やぁおじいさん。ご苦労さんです。大変ですなぁお孫さんのために」。こう言われた。せがれはムッとしてましたですね。
そういう思いをしながら、ずっとやってきたんですけれど、せがれが3年に入って3年間、試合に出してもらえないんです。1回も出してもらえない。3年、4年の時にもう下が何人か入ってきますからね。それにも抜かれているんですよ。
せがれがひょっとしたら、辞めるって言うかなと思ってました。そう言ってきても仕方がないなというふうに思ってました。で、せがれは何をしているのかと言うとね、後輩が打って出たバットを片付けたり、ヘルメットを片付けたり、そういうことをずっとしてました。
で、そのおかげでですね、細かいことに気が付くようになったんですね。神様は無駄なことなさらんなというふうに思うんですが。それでも、まぁそういうことを踏まえながら、せがれは一生懸命やってくれておりました。
それでですね、紅白戦をするといった時にですね、いよいよ、投げるピッチャーがいないということで、「おい、佐々木、投げてみろ」と言われたらしいですね。で、投げた。投げさせてもらった。
「おお、いいじゃねえか」。それからですね。「あいつをちょっと試合に使ってみるか」ということで、使ってくれることになった。そしたら、結構抑えるんですよ。目を疑いましたけどね。
もうそのマウンドにいることだけで、ありがたい訳ですよ。それで、投げさせてもらってる。ボールを握ってる。今までね、ベンチサイドでご用してたのが、晴れ舞台ですよ。ねえ、ピッチャーなんて本当にありがたい。そこで一生懸命投げてる訳。それでねぇ、場面は、ヒット1本出たらサヨナラ負けのところだった。
私はね、もうそのうれしさですよね。「ああ、良い場面を与えてもらって、このピンチで彼は育てられるんだ」と、心の中で叫んでました。「何でもいいから思いっ切り投げろ」。ありがたいことをさせてもらってるんだから、結果はどうであれ一生懸命投げれば良い。
そうするとね、心配というよりも、もうお礼のことが、どんどんどんどん出てくるんですよ。ああ、今日まで元気な体があったからこういうことが出来た。今日まで我慢したから、こういうことになった。で、更に、このピンチで彼が育ててもらえるんだ、ということをね、考えたらもう心配どころか、お礼しかないんですよ。そうすると、ありがたい心がこう膨らんでくる。ピンチなんて関係ない。
とにかく、彼がおかげを受けて育ててもらえるんだという、そこに力点が入りましたのでね。本当に気を楽にして観させてもらいました。結果はその試合は抑えて、勝ち投手になったんですけれども。
先程も申しましたように、お礼が先、お願いが後。まずお礼ですよね。お礼をさせて頂いてると、本当に心が開けてくる。心配が飛んでっちゃう。心配どころじゃない。やはり、お礼をすることがいっぱい次から次へと出てくる。
何かこう特別なことが起きた時、そういうふうな時には、やっぱりその事柄に気を取られてしまって、そっちへ心が行ってしまう。大変な時こそ、一大事というような時こそ、お礼が後回しになってしまう。次から次へと色んな悪いことを思い浮かべてしまうということになる。これは、やはり、何事があろうがお礼が先に出てくるという生き方を身に付けさせて頂かないかんというふうに思うんですが。
やはり、四代金光様が、「お礼が先、お願いが後」ということを例えて、「上着を着てから下着を着る人はいないな」と教えて下さっていますけれど、本当にそのお礼を先にさせて頂く。心底お礼をさせて頂くということによって全てが整ってくる、そういうことを思う訳であります。
野球からそういうことを学ばせて頂いて、自分のせがれの生活を通して、私にいろんなことを教えて下さる。ありがたいことだなぁというふうに思う訳であります。
(ナレ)いかがでしたか。
このお話のように、逆境に立たされた時には、ついつい不安なことを思い浮かべてしまいがちです。
しかし、大切なことは、神様のお働きの中で、たくさんの人に出会い、たくさんの人に支えられ、ここまで成長出来たこと。そのことに、まずお礼が出来ることによって、ありがたい世界が広がり、そこから一歩、前に足を踏み出せるのだと思います。