●シリーズ「あなたへの手紙」
第3回「仕事のミスが多い/幸せとは何?」

金光教放送センター
おはようございます。私は福岡県にあります、北九州八幡教会の野中正幸と申します。
最初に、30代男性の方からのお悩みです。
「仕事でミスや物忘れが多く、上司によく怒られます。気を付けようと思っていても、特に、忙しくなると失敗してしまいます。そんな自分が情けなく、嫌で嫌でしょうがありません」
このような内容です。
そうですか。気を付けようと思っていても、ついついミスしたり、忘れたりしてしまう。私もかつて、会社で業務が重なり、途中で用件が入ると、大事なことを後回しにしてしまい、結局ミスしたり、忘れたり、という経験があります。
そんな時はとても落ち込んで、あなたのように、自分が嫌で嫌でしょうがない思いになりました。でも自分を否定する心になってしまうと、萎縮してしまって、仕事にも身が入らず、ますますミスを引き起こすことになりました。
そういう時に私が大切にしたのは、出来たことを喜んで、神様にお礼を申し上げる時間を作ることでした。どうしても失敗ばかりに目がいってしまいますが、いつもしているような、ちょっとした小さなことでも、出来たことを喜び、お礼を言うことに心の向きを変えていきました。すると、だんだんと、「ああ、こうして日々、命を頂いて、仕事を頂いて、今働けている。それがまずありがたいことなんだなあ」という思いになってきたんです。
そうやっていくと、だんだんと自分を否定する心ではなく、失敗はきちんと反省して、次に生かそうとする前向きな心に変わっていきました。また、冷静に、「どういう時にミスをしやすいのかな」と考えるようにもなりましたよ。
どんなに忙しい時でも、「今からこれこれをさせて頂きます」と、心の中で良いので、仕事の前に神様にお願いし、後には、「終わりました。ありがとうございます」と、神様にお礼を言い、喜ぶことが大事です。心を落ち着けることにもつながりますよ。
仕事の上で、たとえ怒られたとしても、それはあなたの人間性を否定されているわけではありません。人間の値打ちは、仕事の出来不出来とは関係ないのです。人は皆、神様から等しく、尊い命を頂いた身なのですから。
金光教の教えに、次のようなものがあります。
「5本の指が、もし、みな同じ長さでそろっていては、物をつかむことができない。長いのや短いのがあるので、物がつかめる。それぞれ性格が違うので、お役に立てるのである」というものです。
自分の良い面はなかなか自分では気付けないものですね。自分を「嫌だなあ」と思った時は、この5本の指の教えを思い出して下さい。あなたにはあなたの良い面、役割があり、きっとあなたが気付いていないところで、お役に立っているのですよ。
次に、40代女性の方からのご質問です。
「最近よく『幸せとは何か』ということについて見聞きします。人間の『幸せ』とは何でしょうか?」
このような内容です。
「幸せとは何か」。難しいですね。幸せと思えるかどうかは、人によっても色々と違うような気がします。例えば、「こういうものが手に入ったら、こういう状況になったら幸せになれるのになあ」と思うことがあると思います。でも実際に欲しいものが手に入ると、さらにまた別の欲しいものが心に浮かんできます。
欲しいものを手に入れるために、向上心をもって頑張ることは大事なことと思いますが、他人と自分とを比較して、無いものが欲しいと思うような欲求には、切りがありません。
では、幸せについて、ちょっと発想を変えて考えてみたいと思います。
私たちは日々の生活の中で、心配や不安、不平不満、イライラや悲しみ、そういった気持ちになることは避けられません。予想外の悪い出来事に出遭ってしまうこともあるでしょう。生きている以上、少なからず起こることです。
私は、そのような、いわばマイナスの気持ちを吐き出す場所があるかどうか。つらい時に支えとなる場所があるかどうか。不平不満があったり、イライラしてどうしようもない時に心落ち着ける場所があるかどうか。それが「幸せ」を考える上で、とても大切になるのではないかと思っています。
金光教の教会には、「広前」という神様に向かって祈り願う場があり、さらに、「お結界」という場に教会の先生が座っておられます。参拝された方は、先生に自分の願いや思い、不安や心配事などをお話しし、一緒に神様に願って頂きます。そして先生から色々とお話を聞かせてもらい、心の向きを前向きに、良い方向へ変えていくことになっていきます。お結界は神様と私たち人間とを結んでくださる場です。
そのような、いつでも心の支えとなる場や時間があるということが、安心、ひいては「幸せ」へとつながっていくのではないでしょうか。
そしてきっと、何気ない日常の中にも、「幸せ」が満ちているのだと思いますよ。