●信心ライブ
「感謝のパワー」
金光教放送センター
(ナレ)金光教の集会で行われた発表や講話などを録音で紹介する信心ライブ。今日は、愛媛県金光教来見教会の塚本道晴さんが、平成28年7月に、ある集会でお話しされたものをお聞き頂きます。
金光教では、お世話になる全てのものに対してお礼を言う心を大切にしています。塚本さんは、ある1つの例え話をお話しになりました。
(音源)顔を見てもね、口や鼻や目や眉毛がありますでしょ。でね、こんな笑い話があるんです。口が顔の中で1番下に付いているじゃないですか。でね、口が腹が立ってきたんやね。上を見たら鼻がおる。「わしは、毎日3食ご飯を食べて、お水も飲んで、一生懸命に働いて、命を支えてるのに、顔の中で1番下に付いているのはおかしい」とね、不足が出るわけや。それで、鼻に文句を言うた。そうしたら鼻がフフンって笑った。「偉そうなことを言うな。お前は、ご飯食べたじゃ、お水飲んだじゃと言うたって、日に10回かそこらの話やないか。わしは24時間、お前がクーッて寝ている時も息をしてやっとるんじゃ」と。それで、けんかを始める。ところが上を見たら、目がおることに気が付いた。「目が偉そうに、上からわしら2人のことを見下しておる。腹が立つから2人で言いに行こう」と言うて、口と鼻が、その時だけは仲間になってね、目の所に行って、「お前、何や、わしらを見下して偉そうに」と言うたら、目がね、「お前、偉そうに言うな。食べて良い物と悪い物の見分けを付けてやってるのは、わしじゃないか」と。「鼻も偉そうなことを言うな。わしがちゃんと物にも当たらんように、けがもせんように見てやってるから、お前らな、生きていけてるねん」と目が言うた。
で、その上を見たら、眉毛がおる。「眉毛こそ、なーんもせずに、朝から晩まで横になってね。こんなやつにはもう、いっちょ言うてやらないかん」と言うて、口と鼻と目とが、眉毛に文句を言いに行った。そうしたら眉毛が何と言うたか? 「私は皆さんのその働きに感謝してます」って言うた。そうしたらね、文句を言うてやろうと思うて行ったけれど、もう言いようがないんよね。つまり、それはどれが上とか下とか、どれが出来ているとか出来ていないとかいうことじゃない。口が無かっても大変、鼻が無かっても大変。みんなそれぞれの役割があって、支え合いながら生きているんですよ。その一つひとつの働きに感謝が出来るということが、すばらしい生き方で、そこにしか、生きた働きというか、おかげというものは、生み出されてこないんだっていうことを教えて下さっているんですね。
それでね、感謝の心やお礼の心というのが、どれ程のパワーがあるかということですが、この、今お話しした口や目の話を聞かれた人がいるんですね。その方はですね、お父さんを早くに亡くされて、若くして、中小企業の社長さんになられたんです。ところが、社長になってから、3年間ずっと赤字。3年連続、赤字を出したらね、ちょっと会社も危ない。ですからその若社長はね、あっちこっちの経営セミナーや研修会に出られた。そうしたら、色々と分析してくれた。人件費が高いとか、固定費が高いとか言われた。どこに行ってもね。確かにその通りだけれども、その方はね、それだけが問題じゃないと思った。そんな時、今の目、口、鼻の話を聞いてね、ハタと気が付いた。わしは奥さんに今まで感謝の気持ちを持ったことがなかった。ありがとうと言うたことがなかった。自分の会社の社員に、お礼なんか、なんで言わないかんのかと。わしが給料をお前らにやっとるじゃろうがと。その働きに見合うことをしないから、というぐらいに思っていた。ところが、この話を聞いてね、家内に頭を下げて謝って、「本当に感謝が足らなかった、ごめんな」と。そらそうなんですよ。会社で自分は一生懸命しているつもり。家では奥さんが、温かいご飯や、お風呂を沸かして待ってくれているわけじゃないですか。そのことにありがとうとも、何とも思わん。「わしがもらってきた給料で、生活を成り立たせてやってるんじゃ」ぐらいの気持ちでおったわけなんです。従業員に対しても同じです。ところがそこに気が付いたんやね。一人ひとりが大切な、一人ひとりが会社の中で一生懸命してくれている、そのことに対して、何とも思うてなかった原因はわしにあるんじゃと、従業員を集めて、「これまでごめんなさい」って、「あなたらに本当にお世話になってありがとうね」って。「感謝します、お礼を申します」って言われて帰られた。その次の年から、だんだんだんだん業績が上がっていった。
費用対効果とか、それも大切ですよ。けれど、1番大切なのは、お礼の心。感謝をさせて頂くところに、神様が働けるんですね。
(ナレ)「お世話になります。ありがとう!」。一見特別な言葉ではないように思いますが、改めてその言葉の持つパワーを感じました。感謝することで、神様がより一層働いて下さるんですね。忘れないようにしたいと思います。
今日一日が、グチや不足の出ない、穏やかな日でありますように…。