私の心に届いたもの


●信心ライブ
「私の心に届いたもの」

金光教放送センター


(ナレ)金光教の集会で行われた発表や講話などを録音で紹介する「信心ライブ」。
 今日は、鳥取県金光教石脇いしわき教会の教師、福場信枝ふくばのぶえさんが、平成27年7月4日、ある集会でお話しされたものをお聞き頂きます。

(音源)私が小学校3年生の時ですから、もう随分と昔の話です。
 私は学校に行かなくなりました。今で言いますと「不登校」です。母は悩み、随分つらい思いをしたようです。
 ある日、母はどうしようもない気持ちになって、一人でご本部に参拝しました。お結界には四代金光様がお座りになられておりまして、母は、娘の私がですね、学校に行かないことをお届けしたそうです。すると、金光様は優しいお顔で、「この子がハイハイした時、うれしかったじゃろうが。この子が歩き出した時、喜んだじゃろうが。その時のうれしかった気持ちを思い出してな」と、お話し下さったそうです。母は何とも言えないすっきりした気持ちで家に帰ったということでした。
 すると次の日、母は何にも言わないのに、あんなに行かないと言っていた娘の私が、朝すっと学校に行ったのです。母はとても驚き、神様にお礼を申したということです。
 実はですね、この話、母が私のことでですね、一人で金光様にお届けに行ったということを、数年前に初めて知りました。
 というのも、私がご用させて頂いております教務センターでは年に1回、青年を対象にしたセミナー、勉強会みたいなものを開催してるんですが、「四代金光様のご生涯を通して、教祖様の信心を知る」というような内容でした。それを企画する段階の時に、ふと母に、「お母さん、四代金光様のことで何か思い出に残っていること、印象に残っていることはないか」というふうに尋ねたんですね。するとこの話をしてくれたんです。
 もう私はびっくりしてしまいました。といいますのも、私はその時、小学校3年生ですから、その時のこと、その日の朝のことをはっきりと覚えているんですが、その日、あの朝、なぜだか分からないんですが、「今日から学校に行こう」と思ったんですね。
 で、この話を聞くまで、あの時私は、自分の意思で学校に行こうという気持ちになったというふうに、ずっと思っていたんです。それがそうではなかったわけですね。神様、金光様、両親の祈りの中で、私は学校に行こうという気持ちにならせてもらったんです。40年近く経って初めて知りました。
 もちろんですね、学校に行こうという気持ちになることだけがいいというわけではないんですが、私はその時そういう気持ちにならせて頂きました。
 普通に考えればですね、母がですね、金光様のお取次とりつぎを頂いて、子どもがハイハイした時のこと、歩き出した時のことを思い出したことと、私が学校に行こうと思ったことって何のつながりもないし、何の関係もないんですが、やっぱりそこが、信心、お取次のすごいところなんですね。
 み教えにですね、「願う心は神に届くものである。天地金乃神てんちかねのかみは、くもが糸を世界中に張ったのと同じことである。糸にとんぼがかかればびりびりと動いて、くもが出て来る。神も同じことで、空気の中にずっと神の道がついているから、どれほど離れていても、拝めばそれが神に届く」と、あります。
 母の思いが、願いが神様に届いて、そして私の心に届くんですね。私たちは自分の心と言いながら、自分の心をどうしようも出来ないんです。でも実際この時、当事者は私なんですが、私の知らない所で神様の祈りと周りの人たちの祈りが相まって、私の心に働いて下さったんです。私の中の神心に働いて下さったんだと思います。
 祈るということはですね、素晴らしい働きになっていくということを初めて知りました。そしてまた祈られているということが、何とありがたくて幸せなことかというふうに思いました。
 さてこの時ですね、四代金光様は、「この子がハイハイした時、うれしかったじゃろうが。この子が歩き出した時、喜んだじゃろうが。その時のうれしかった気持ちを思い出してな」と、ご理解下さっています。
 これはどういうことかと言うと、母は、不登校である娘の今の姿ばかりに目がいって、神様のおかげで生まれてきた娘のいのちのお礼申すことが出来ないんです。もうつらいばっかりです。
 ならば、うれしい思いをした時のことを思い出してごらんということです。うれしい思いをした時のことを思い出してみると、あの時ハイハイ出来たのも神様のおかげだったなあ、歩き出したのも神様のおかげだったなあ、ということを再確認することが出来る。そこからでもいいから喜んで、お礼を申す生き方をさせて頂きましょうということです。

(ナレ)幼いころの出来事、40年の時を経て、そこにはお母さんの温かい祈りがあり、祈ることの素晴らしい働きや、祈られていることのありがたさ、幸せを知った、その感動がとても強く伝わってきます。
 お母さんの祈りが神様の祈りと一つになって福場さんの心に届き、前へ進もうという気持ちになれたのでした。
 そして、お母さんの祈りの力となり、助かりの元になったのは、喜ぶ心なんですね。
 喜ぶ心は、自分自身にも周りの人にも生きる力を与えてくれます。喜ぶ心で、喜びあふれる毎日を過ごしていきたいですね。

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