●信心ライブ
「まず命がある」
金光教放送センター
(ナレ)金光教の集会で行われた発表や講話などを録音で紹介する「信心ライブ」。今日は、大阪府放出教会長の井上智雄さんが、平成27年7月、金光教玉水教会でお話されたものをお聞き頂きます。
(音源)ある日、女の子が訪ねて参りました。この子は、お正月とか年に2、3回はお参りしてくるんですけれども、普段は東京で仕事をしております。それで、その子がですね、平日にもかかわらず教会に参りまして、お話を聞かせて頂きました。
この子が言うのにはですね、「先生、私、この前、おへその横からうみが出てきたんです」。こう言うのですね。すぐにこれはおかしいと思って、病院で診てもらうと、お腹の全面、全部にがんが広がっておりまして、もう、とにかくこれはどうにもならない。手の付けようもない。どうしようもない。ということでございまして、「私の病院ではもうだめだから、他に行ってくれ」というような状況になりました。
この子にしますと、もう大変なことでございますから一生懸命です。違う病院にも行ったんですけれども、他の病院に行きましてもやはり同じでございました。「もうこれはどうにもならない。逆に今、手を付けたらあなたの寿命を短くしますよ」というようなことでございました。泣きながらその話をしてくれました。
ただですね。この子は昔から婦人科によく行っておりまして、大学の婦人科の先生と懇意にしておりましたので、その先生に、いよいよどうしようもないと話をしたら、その先生が、「ともかく私の出来る範囲で診させてもらおうか」というような話になりました。一縷の望みなんですけれども、一人、そういう方が出てまいりました。で、そのことが決まって教会へ参りました。
まず、命がある。まずこのお礼をさせて頂きましょう。それと同時にそういうふうに、出来ることをして下さる先生が出てきたということ。これは一つの大きなおかげなんだと。それを忘れてはいけない。この神様は無駄事をされない。そういうことが起こってくるということは、必ずどこかに展開があるから、おかげになってくるから。まずそのことをお礼を申し上げながらいきましょう、と本当に色々と話をしながら、励ましながら、お話をさせて頂きました。
ただですね、それで東京へ帰るということなんですが、この子を一人で帰らせるわけにはいかない。どうしたらいいかと。ともかくこの子の今住んでいる場所を聞きながら、東京でその近くにある教会がどこかないだろうかと考えておりましたら、家の近くに教会がございまして、その教会はちょうど、会社からの帰り道にも通ります。もうとにかく、東京へ帰ったら、何かあったら教会に行って、自分に色んなことがあったら、そのまま包み隠さず、先生に話をしろ。愚痴でもいい。自分の胸の内の中のあることを全部先生にお話しすればいいから、先生が必ず聞いて下さるから、そして先生のおっしゃることを聞かせて頂こうと。そういう話をいたしました。
この子にしましても、私どもの教会にわざわざ東京から参ってくるという状況ですから、それはもう、本当に頼る所がどこにも無いという状況でしたので、東京へ帰りましても、教会にお引き寄せを頂くようになりました。
東京に帰りまして、約3カ月ぐらいですかね。抗がん剤治療がございました。もう見事に髪の毛も全部抜けて、戻しもしますし、大変な治療だったんですが、その3カ月の治療を終えました。
結果を見てみますと、お腹の全面にあったがんがですね、本当に見事に奇麗に無くなったんですね。先生もびっくりされまして、もうとにかく手の付けようがないと言っていたがん。特に、その全面にあるがんが邪魔だったんですが、それが消えたんですね。ということは次の手立てが出てきた。中にあるがん、そのがんに手を付けることが出来るという状況になりました。まぁともかく、手術をしてみましょうという形になりました。
そこから大きなおかげを頂きまして、その手術も無事に終えさせて頂きまして、だんだん本人も元気にならせて頂くおかげを頂きまして。がんマーカーの方でも数値がだいぶ下がってまいりました。腫瘍が今無いという状況におかげを頂いております。
教会というところはですね。いよいよ考えてみますと、本当に家に起こってくる、自分の身に起こってくること一つずつ一つずつを教会にお届けなさる。これが大事なんですね。
(ナレ)いかがでしたか。
もし、お医者さんから、「手の付けようがない。どうしようもない」と言われたら、これからどうすればいいのだろうかと悲観的になり、平常心を保てる人は多くないでしょう。
でも、井上さんは、どんなに絶望の淵に立たされても、「まず、命がある、そのことを神様にお礼を申し上げ、ここからのお願いをさせて頂きましょう」とおっしゃいます。
そして、東京でお参りした教会の先生からは、「神様がお造りになった体だから、神様が治して下さる」と言ってもらいました。この言葉が彼女にとって大きな心の支えとなり、不安だった手術も無事に乗り越えることが出来、5年が経過したそうです。
今は科学が進歩し、昔に比べると医療も格段に良くなりました。けれども、医療の働きの奥には、目には見えない神様の働きがあり、医療を通して神様が治して下さるのだということを忘れてはならないと思いました。