シリーズ「あなたへの手紙」第4回「お参りする目的は?/学業よりアルバイト?」


●シリーズ「あなたへの手紙」
第4回「お参りする目的は?/学業よりアルバイト?」

金光教放送センター


 おはようございます。佐古さこ教会の木村道江きむらみちえです。和歌山県にお住まいの29歳の男性、坂本さかもとさんからのご質問です。
 
 「両親が金光教を信心しています。私に教会へ行けとは言いませんが、父も母もしょっちゅう教会に通っては、何やらお祈りをしているようです。しかし、そのわりには、我が家に特別いいことが起こったとも思えません。両親のやっていることに意味があるのでしょうか」

 このようなご質問です。

 ご質問、ありがとうございます。
 ご両親が時間をかけて、せっせとお参りしているのに特別いいことがあるように思えないとなると、何のためにそんなに教会に通っているのか、疑問に思いますよね。坂本さんがそう感じるのも、もっともだと思います。
 では、坂本さんにとって「特別ないいこと」というのはどういうものでしょうか。宝くじに当たったり、素敵な人からいきなり告白されたり、と思いもよらないことが起こることでしょうか。
 私が奉仕する教会にも、坂本さんのご両親と同じように、熱心に参って来られる方々がいらっしゃいます。教会にお参りされる理由は、叶えたいことがあるからとか、心の中で引っ掛かっていることを吐き出したいからとか、うれしいなぁと思ったことを神様にお礼をしたいからとか。そんなふうに、それぞれ違います。
 けれど、そうやってお参りに来られた方々は皆さん、神様にお祈りしたり、教会の先生と話しているうちに、どんどんと喜び上手になられておられるなぁと私は感じています。
 例えば、職場の上司のことで悩んでいた女性がいました。その上司があまりにも自分勝手で、それが嫌で嫌でたまらず、そんな状況をどうにかしたいと思って、参拝を始めたそうです。ところが、教会で、「神様にとっては、どんな人でもみんな、大切な子どもなんですよ」という話を聞いているうちに、どんどんと上司への考え方が変わっていったそうなんです。
 今、一番可哀想なのは誰なのか、それは自分じゃなくって、皆に嫌な思いをさせてることに気付いてない上司本人なんじゃないのかなって、そう思えるようになってたんです。それからは、上司のことを祈れるようになって、上司との関係もだんだんと良くなっていったそうですよ。
 こうやって、お参りしていると、自分だけではなかなか気付けない、全く新しい考え方に出合うことがあります。そうやって、生き方がもっと良いものに変わっていく。これも、「特別いいこと」になるんじゃないでしょうか。
 坂本さん、ご両親に対して、何でこんなに喜べるんだろう。なんでこんなに前向きに考えられるんだろうって思ったこと、ありませんか? そのもとを、ご両親は、実は教会で作られているのかもしれませんね。

 次は、50代の女性からのお悩みです。

 「大学2年生になる娘のことです。娘は、大学に入ってから、カフェでアルバイトをしています。だんだん責任のあることを任せられて、本人もやりがいをもってやっています。それはありがたいのですが、最近、早朝と深夜の時間帯のバイトが増えました。娘は、バイトには遅刻なく出掛け、最後までやり遂げているみたいですが、先日寝不足がたたり、学校を休みました。私は、本業である学業がおろそかになるのでは本末転倒だと思い、娘に話しましたが、バイトでも責任があるんだと申します。どうしたらよいでしょうか」
 
 このようなお悩みです。

 バイトが悪いとは思わないけれど、そちらにかかりっきりで勉強がおろそかになっては…と、すごく心配になりますよね。
 私は、このお話を聞かせてもらっていて、とても素晴らしい娘さんをお持ちだなって思いました。だって、本人が責任感を持って、任されたことをやり遂げて、周りからも信頼を得られている。これって、なかなか出来ることじゃないですし、娘さんもすごく頑張られたんだと思います。
 大学2年生ということでしたが、私はこの、大学生という期間は、自分の行いに自分で責任を持つことを学べる大切な時期でもあるかなと思っているんです。今回のことは、娘さんにとっては、それを学ぶ良い切っ掛けになるんじゃないでしょうか。
 じゃあそんな時に、お母さんの方はどうしていけばいいのか、本当に難しいところだと思います。
 金光教には、親子の関係について、こんな歌があります。
「ちちははも子供とともに生まれたり 育たねばならぬ子もちちははも」
 この、子どもとともに生まれるっていうのは、子どもが生まれてはじめて、自分も「親」っていう存在になれる。つまり、親も赤ん坊と一緒。いろんな経験をしながら子どもと一緒に育っていく。そういうのが親子なのかなと私はこの歌から思わせてもらっています。
 ですから、今回のことはお母さんにとっても、自立していく子どもの親として、新たな子育ての段階に入った。そんな切っ掛けをもらったんだと思ってみてはどうでしょうか。
 娘さんのことを思うお母さんの気持ちはちゃんと伝わっていると思います。ここからは娘さんのことを少し距離を置いて見守りながら、時には悩みを聞いたり、一緒に考えたりしながら、応援してあげてはいかがでしょうか。
 娘さんが良い学生生活が送れるように、私もお祈りさせていただきます。

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