お役に立つ会社であれば

●信者さんのおはなし
「お役に立つ会社であれば」

金光教放送センター



(ナレ)兵庫県北部にある豊岡市は、日本一の鞄の産地として知られている街です。昨年から始まったコロナウイルスの広がりは、この街の産業にも大きな打撃を与えました。鞄作りの会社を営む57歳の服部清隆はっとりきよたかさんからお話を聞きました。

(服部)テレワークとか、通勤する方も少なくなり、だからビジネスバッグも減り、旅行も自粛、特に海外旅行なんかは、もうほぼほぼ何もない状況で、トラベルバックも、受注もほとんどない状況で、去年の四月ぐらいからは、ほんとに厳しい状況がずーっと続いてましたけども、じっとしてても仕方ない。その時に、やはり、何か私たちの技術をもってお役に立てることはないだろうかっていうことで考えているなか、フェイスシールドを作ろう。フェイスシールドだったら、例えばかばんに使うクッション材であったりとか、名刺入れなんかに使うシートも使って、これだったら作れるんじゃないかということで、まあそんなことをしてるうちに、兵庫県の方の医療機関から公立病院が全然足らないというお話をいただいて、とにかく服部さん間に合わせてほしいと、注文頂くことができ、また私たちもできることがあるんだということを気付かしていただいて、で、まあそのあとに、実は防護ガウンも足らないんだと。カバンを切る裁断機でビニール切れないかなというようなお話。但し、お話を聞くと大量の数量が必要と。当社だけではどうにもならないということで、同じように困っている同業者に声をかけさせていただいたところ、快く引き受けてくれている所ができて、初めてのことでしたけども、20日後には、何とか1万枚作ることができ、まあその後、1日5千枚ずつぐらいですけども作ることができて、何とか病院の状況を少し脱するのにお手伝いできたかなっていう具合にはちょっと思ってます。

(ナレ)フェイスシールドや防護ガウンの他にも、抗ウイルス加工のスプレーケース、マスクケース、衣装カバーなど、さまざまな衛生用品を手がけていきましたが、服部さんにとって、これはたいへん勇気のいることでした。
 服部さんは、幼い頃から家族とともに金光教の教会にお参りしています。信心の篤い父親から、「何事も神様にお願いしながらさせて頂きなさい」と、いつも教えられてきました。

(服部)心の中はすごい、今までしたことないことばっかりなんで、不安で不安で仕方なかった時に、新しいものができるたびにですね、教会の方にお届けに行きまして、こういうものを作らせていただきたいっていうことで、先生にご相談に行ってましたら、先生のほうからですね、「きっと神様、後ろについてくださってる。そのようにお願いしましょう」と言っていただいて、そう思うことで、何か不安な気持ちがあるときにいつも神様が後ろについてくださってるから、迷うことなく前に行こう、そういう後押しをしていただいているような……。当然、モノづくりですから、何かにつけてすぐに結果が出ることってのはあんまりないんですけど、それでもいつも神様は後ろにいらっしゃる。だから逆に僕は、世の中のお役に立つというのか、持っていただく人、買っていただく方に満足していただく商品を必ず作っていかないといけないと、そういう具合に思ってやってます。

(ナレ)金光教では「一生死なない親に巡り会ったと思って、何事でも無理と思わないで神にすがればよい」と教えられています。服部さんも、教会の先生から、そのような話を聞いたことがありました。

(服部)結婚して初めて子供が授かった時に、先代の先生が「どうや」って言われて「どんな子でもええから、とにかく元気で生まれてきてほしい」っていうようなことをね、申しましたら、こんなときは精一杯、神さんに贅沢なお願いをしよう、もうとにかく、世界一素敵な子が生まれてきますようにぐらいのお願いをしましょうって言っていただいたときのことを、あの、思い出します。結婚して五六年、ちょっと子供もできんかも分からんなあなんて、ちょっとあきらめ気味だった頃の時だったのもありますし、あの時の言葉は非常に嬉しくて……。すみません、ちょっと先代先生のことを思い出したらちょっと涙が……。月並みの、いやもうとにかく何でもいいから健康に生まれてきてくれたらいいというような、それが謙虚なことなのかなと思ってたんだけど、たまには神さんにわがままなお願いをしてみなさいよっていうようなことを言って頂いたことに関してね、すごく嬉しかったし、身近に感じたし……。

(ナレ)教会の先生の優しさと重なって、神様のお心が胸に染み、この時の感動は、今も服部さんを励ます力となっています。

(服部)商売の中でやっぱり厳しい時もあったんだけども、お役に立たしていただいてる会社が見放されるわけないって、もう信じるしかないと。そういう会社は、神様も世の中もきっと見放さない。だから、そういう会社であり続けることを、ずっと社員にもみんな伝えていかないと、社員一丸となってみんなで同じように考えていかないと、と思いますね。
 まあなんか、ほんとに逆にコロナになったこの今だからこそ、よりいっそう、なんか、神様が身近に感じるようになったと、そんなような気がいたします。

(ナレ)時代の荒波に揉まれながらも、服部さんは、お役に立ちたいという揺るがぬ願いで、会社の経営を進めています。

タイトルとURLをコピーしました