花の咲かせ方



●信心ライブ
「花の咲かせ方」

金光教放送センター



(ナレ)おはようございます。
 今日は、金光教せき教会の教師、松澤光明まつざわみつあきさんが平成30年5月、滋賀県・金光教大津おおつ教会でお話しされたものをお聞きいただきます。松澤さんは、このお話をする半月ほど前に、全く声が出なくなるという経験をされました。

(松澤)声が出ない。出にくいという経験はありましたけれども、全く出ないという経験はおそらく初めてだったように思います。人間は考えて声を出しているわけではないですね。出る。まさに「出る」ですね。大声を出すという場合は、「出す」ですけどね。声は普段話す時は、出るという感じですわ。出る。おかしなことばっかり申すようですけれども、「こういうふうに口を開けて、こう言うたら、『あ』という音が出る」なんて考えては言うておらんですね。当たり前にしゃべっておるんであります。
 したがって、出るのが全く当たり前。考えてもいないのですけれども、出ないんですね、それが。自分でもちょっと信じられない。野球で空振りというのがあります。空振りも空振りですわ。多少出てもいいと思うんですけれども、「はっ」と空気だけが肺からのどを通って外へ出て行くんです。音にならない。普通は声帯に引っかかるんでしょうね。その引っかかりがない。
 明くる日の朝、布団の中でですね、これは出るやろと思ってですね、「はっ」と言ってみるんですけれども、やっぱり空振りでございますね。

(ナレ)松澤さんは3、4日全く声の出ない日を過ごされます。病院で受診すると、自然に回復するのを待つということになり、その一週間後にようやく声が出るようになりました。
 その声の出ない間、松澤さんは普段と変わらぬ神様への奉仕を続けました。この出るはずの声が当然には出ないという出来事をとおして実感したのは、自分が何かをするためには、それが当たり前にできるよう前もって支えられていたんだということでした。私たちは自分自身が「生きる」のと同時に、支えられることで生きている。つまり「生かされているんだ」ということへの気付きとなったそうです。そこには、心がじんわり温かくなるような安心感があることでしょう。
 さらにお話は続きます。桜がテーマとなりました。

(松澤)毎年桜を見るたびに、桜の花はすごいなあと思います。幹が隠れるほどに、枝の元から先っちょの先の先まで花をつけますね。普段は山に桜の木なんてあっても分からないんですけども、桜が咲く頃は、「あれは桜の木やったんやな」と、遠目にも「あそこにある」と分かります。皆さんもご経験のことだと思います。
 あんな花はそうそう無いんじゃないかというふうに思うのですね。自分を隠すぐらいに花を咲かす。身いっぱいに花を咲かす。
 そう考えた時に、「桜の木ってすごいなあ」と思う。と同時に、「これは桜の花の力なのか」と思うのです。もちろん桜の花の力もありましょうね。あるいは頂いておる
たちというんですかね。しょうというのがあるんやろうと思います。
 しかし、天地のお恵みがあの花を咲かすんだということを同時に思うのです。そのような頃になったら咲くというのは、光や熱や暖かさ、あるいは寒いうちに蓄えているものもあるんでしょう。そういう天地のお働き、恵みが桜に花をつけて、花を咲かせる。
 もっと言いますと、天地が桜の形をとって咲いていると言うてもいいぐらいに思うわけであります。決して桜の花が自分だけの力で咲いているというのではないんですね。そのことを思うのであります。
 そうしてみると、私たち人間は天地の親神様の氏子であると言ってくださっている。いとし子であると、かわいらしい子であると言うてくださるわけでありますね。だから、私たちほど、天地のその働き、恵みを受けることができるものも他にないのではないかとも思うのです。
 桜の花が、あのように花を付けるように、私どもも命いっぱい輝くことができる。そういうものであろうと思うんですね。生かされて生きるというのは、そういう生き方ができるということではないかと思わせてもらうのであります。積極的に天地の親神様のお力、お働き、お恵みを頂いていこうとする生き方というのが、「生かされて生きる」という生き方ではないかと思います。

(ナレ)ただひたすらに天地の恵みを受けて「生かされている」桜でさえあれほどの花を咲かせることができる。「生かされて生きる」私たちは、より一層立派に花が咲かせられるはずというお話です。
 苦しい時、つらい時、逆境に立ち向かう時、頑張りを強いられている時。そんな心がこわばってしまうような時に、ふと、「自分は孤独ではない。こんな時にも支えられているんだ。天地の恵みを受けているんだ」と思えたら、どれほど心強いでしょう。このような安心の下に生きることが、生かされて生きるということなのでしょう。そんな生き方が、あなたの身にも花を咲かせていくんだよと、桜はそう励ましてくれているようにも感じます。

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