●あなたへの手紙
第1回「①娘に友だちができない/②父親が熱心な信者」

金光教放送センター
おはようございます。大阪府にあります金光教平野教会、宮下寿美です。
最初に、40代の女性からのご相談です。
「娘が、高校に入学しましたが、友だちができません。中学生の頃から、友だち関係でよくトラブルになっていました。人との距離感がつかめない様子です。親の目から見ても、ちょっと変わってるなあと思うので、普通になってほしいと思ってしまい、つい娘を責めてしまいます。最近では、仲間外れにされ、学校に行きたくないと言います。休ませると不登校になるのではないかと心配で、無理やり行かせています。どのように受け止めればいいのでしょうか」
このようなご相談です。
わが子が問題を抱えていると、「何とかしてあげたい」という気持ちが募ります。私もね、子どもが幼稚園に通い始めた時にこんな経験をしたんです。同年代の子と遊び慣れていなかった息子は、かばんを手に持ち水筒を肩から提げたまま、教室の前のベンチに座って一日中過ごす日が続きました。その時は、私も妻も、息子がかわいそうで、きゅっと胸が締め付けられました。なので、娘さんを愛おしむからこそ気が気でないという気持ち、よく分かります。でも、「かわいそう。何とかしなければ」。そういう気持ちが大きくなると、うまくいかないことにいら立ち、子どもにきつく当たってしまうようになるので、気を付けないといけませんよね。
「楽しく学校生活を送ってもらいたい」「無事に卒業させてやりたい」。そんな願いは、不安やつらい気持ちも大きくします。張り詰めた心を和らげるにはどうしたらいいかなあ。そのことを考えてみました。
お母さんは、娘さんの高校生活のことを悩んでおられますよね。でも、高校生の時間はほんの一部。むしろ、そこからの人生のほうが、はるかに長くなります。今のつらい時間に向けている心を、「娘が将来、伸びやかに生きていくために、何をしていくのが良いのかを考えてみよう」みたいに切り替えられると、心が楽になると思いますよ。どうでしょうか。思い切って、「つらいのなら、少し学校を休んでもいいよ。これからのことを一緒に考えようね」。そんなふうに、娘さんに声をかけてあげてみるのもいいかもしれませんね。
心配することに力を使って疲れてしまうより、「将来のためになることを考えて、気が付くことはやってみよう」みたいな気持ちで、お二人が一緒の方向を見据えていくと良いのではないかなあ。神様は、ずっと先のことまで見通されて、幸せになれるようお膳立てくださいますよ。
次は、50代の女性からのご相談です 。
「私は信心していません。父親が熱心な金光教の信者で、若い頃は反発ばかりしていました。私も年齢を重ね、信心について、『そういう世界もあるのだな。悪くもないな』と思い始めた矢先、検査に引っ掛かり病気が見付かりました。父親は、『参拝して、神様にお礼を申し上げてこい』と言います。病気になったのは仕方ないとして、どうして神様にお礼を言わなければならないの…と、また反発がよみがえりました。信心する人ってどうしてこうなんでしょう」
このようなご相談です。
お体の具合は、いかがでしょうか。お見舞い申し上げます。
病気を告知された時は、衝撃と先の見通せない不安を抱えて、「一体これからどうなっていくのだろう」と胸を痛められたと思います。当人でしか知れない心細さ、募りますよね。そんな時に、お父様から「教会へ行ってこい」と一方的に言われても、素直になれない気持ち、とてもよく分かります。まして、「お礼をしに参拝してきなさい」と言われても、病気になりたくてなったわけではないわけですし、「お父さんの言うことは、いつも正論。でも、私の気持ちも知らないで、考えを押し付けないで」と反発心が芽生えるのは当然だと思います。一番つらいのは、あなた自身なのですから。
一方で、年齢を重ねられたお父様に、自分への接し方を変えてもらうのは難しい。そのことに気付いているのではないですか。イライラする原因は分かっているけど、解決の方法が見付からない状態。一体どうしたらいいの? そんなジレンマを抱えてもがいているようにも思えます。
一つ、あなたの気持ちの中で、ありがたいなと思うのは、信心について、「そういう世界もあるのだな。悪くもないな」という思いを持っておられることです。それは、目には見えないけれども、自分を包み込む不思議な力、つまり神様の働きを感じているということだと思います。なので、無理にお礼を言わなくてもいいので、お参りして、病気のこと、お父様への不満など、交々の思いを、教会の先生に打ち明けてみてはいかがですか?。 不安や憤りの気持ちを打ち明けることができたら、重たい気持ちも和らぐものです。自分自身で一歩を踏み出してみると、思いがけない気付きや発見があると思いますよ。納得できるような、神様にお礼する意味も見えるといいですね。
ご体調の快復を、私も祈念しております。どうぞ、お大切になさってください。