●あなたへの手紙
第4回「①認知症の母の介護/②会話ができない息子」

金光教放送センター
おはようございます。福岡県・金光教不知火教会の池本ひろえです。よろしくお願いします。
認知症のお母さんの介護を一生懸命されている40代の女性のお悩みです。
「認知症の母親に優しくできません。母は、自分の娘であることを認識できている時と、そうでない時があります。調子のいい時は2人で楽しく笑い合える時もありますが、決まりきったことができなかったり、同じ間違いを繰り返したりすると、きつく言ってしまいます。母は、叱られたことを忘れていますが、私の中では罪悪感が増していき、後悔ばかりしています。どうすればいいでしょうか」
このようなお悩みです。
私も、同居している認知症の母の介護をしているので、葛藤されるお気持ち、すっごく分かります。私の場合は、教会の先生に心の苦しみを聞いてもらったことから、介護の向き合い方が変わって、とっても穏やかな気持ちで、お世話ができるようになりました。
介護で困っていた私に、教会の先生は、「お世話をしているだけではなくて、あなたも、得ているものがあるのだよ」と言ってくださり、目から鱗が落ちるような思いになって、介護に対する私の見方が少し変わったんですよね。
教会で話を聞いてもらって、心が軽くなると、狭くなっていた視野が広がって、「私と母と穏やかに過ごせる方法を探してみよう!」と、前向きな気持ちになりました。
私が穏やかだと、母も穏やかで笑顔がふえて、「ありがたかねー、もったいなかねー」という感謝の言葉を言ってくれるようになりました。「介護は、親の最後の子育て」と、介護士さんが、教えてくれたんですが、教会の先生の言葉とつながって、「私が得ているもの」に気付けるようになったんです。
例えば、私はとってもせっかちなんですが、何でも時間がかかる母のおかげで「寄り添いながら待つ」ということができるようになってきました。「認知症の母との時間は、悔いのない親孝行をするチャンスかも」と思えるようにもなってきたんですよね。
といっても、親の老いと向き合うということは、容易なことではありません。きつさをため込まず、吐き出すことが大切だと思います。金光教の教会では、じっくり話を聴いてもらえますので、よかったらお近くの教会へ参拝してみてはどうでしょうか。きっと、あなたの支えとなるものが得られると思います。
次は、佐賀県在住、30代の子育てに奮闘されているお母さんのお悩みです。
「子どもの事で悩んでいます。私には小学校6年生になる男の子がいるのですが、人との関わり方がとても苦手です。学校から帰ってきても遊びにも行きませんし、スーパーで買い物をしている時、学校の同級生に会うと、隠れる始末です。『なぜ隠れるの?』と聞くと、『何を話せばいいかわからない』と言います。何とか普通に会話ができるようになってほしいと願って、会話の仕方を教えたりするのですが、なかなかできません。本人もそれを言われるのが嫌みたいです。これからの将来が不安です。言い過ぎるのもかわいそうですし、どうしたらいいか分かりません。何かアドバイスを下さい」
このようなお悩みです。
一生懸命子育てをされているのですね。「友達と交流して、楽しい時間を過ごしてほしい」。子どもの幸せを願う親ならば、誰もが願うことだと思います。私も3人の子どもの親なので、お気持ちよく分かります。
私の場合ですが、子どもの幸せを思うあまりに、いつのまにか、一般的な「普通とされるもの」と比較して、できないところばかりが気になっていました。「普通」という枠を外して、ありのままの子どもを見るということ、子どもが持つ力を信じることが、なかなかできませんでした。そういうこと、ありませんか?
例えば、息子さんは、「何を話していいか分からない」と言われていますが、話したい気持ちは、あるんだと思います。その気持ちを大切にしてあげたいですよね。親ができることって、子どもの持つ力を、信じて、引き出すお手伝いなのかなあと思うんです。
なので、息子さんが感じていること、思っていること、どんなささいなことでも、息子さんの話を肯定して、じっくり聞いてあげてください。
それから、「自分が、育てなきゃ!」と力まないでいいと思いますよ。私は子育ての中で、一番強く感じたのは、「親だけが子どもを育てるのではない」ということです。子どもたちが出会う、人や出来事や環境など、すべての中に、子どもたちを育てよう、個性を引き出そうとする、神様のお働きがあったように思うんです。その働きを信じてみると、思いがけないことが、息子さんの持っている力を伸ばすことにつながるかもしれません。神様に子どもさんのことをお願いしながら、心配をあずけて、神様と一緒に、子育てをしてみませんか?