●あなたへの手紙
第1回「①食べ過ぎて太った/②未来に安心を得るには」
金光教放送センター
おはようございます。大阪府にあります金光教枚方教会の四斗晴彦です。
まずは50代の男性Мさんからのお悩みです。
「テレビのグルメ番組で、タレントさんがおいしそうに食べている姿を見ていると、ついつい自分も冷蔵庫からおつまみとビールを取り出しては一緒になって楽しんでしまいます。おかげでずいぶんと太ってしまいました。どうしたらいいでしょうか?」
このような内容です。
私もお酒を飲むのが好きなので、Мさんを自分のことのように感じました。今回のお悩みは、太りたくないのだけど、ついつい食べたり飲んだりしてしまう自分の弱さをどうしたらコントロールできるのか、ということですね。
「太る」というのは、人間の体が、飢えることに備えてエネルギーを蓄えてくれているという状態です。体がちゃんとはたらいてくれている証ですから、まずは、自分の体を褒めてやってください。
では、なぜ太りたくないのでしょう。考えられるのは、はじめに、周りからの目があります。なんとなくだらしない人、そう見られてしまうのが嫌だということです。人からよく見られたいというのは、当然誰もが持っている、「認めてほしい!」という承認欲求です。ですから、周りの目など気にせず、太ってもいいじゃないですか、と乱暴なことは言いません。そこは認めていく必要があると思います。
その次に、太っていることが原因となって、病気になることを恐れる気持ちがあるということです。近頃は健康の基準がさまざまな数字で表されていますから、ついついこれも気になってしまうでしょう。
しかし、これらの原因をよく考えてみてください。自分の外側にある問題です。外側のものが気になってしまうことをふまえて、私がアドバイスしたいのは、それに振り回されてしまわないことです。自分の体の内側からの声にも耳をすませると、「少し重たいので動きにくいよー」、そんな声が聞こえてくるのではないでしょうか。
金光教の教祖様は、食事について、こんなふうに教えています。「このくらいでよいと思う時が、神様が教えてくれる体に合う量である」。つまり、私たちには、体を整える神様のはたらきが備わっているのです。どうぞ、身体から聞こえてくる声を、神様からのメッセージとして大切にしてみてください。自分の身体に耳を傾けて、OKだと感じたら、うんと食べて飲んで、心の底から「おいしい!」と言ってください。自分の身体、つまり神様も喜んでくれますよ。Мさんの食生活が豊かになることを願って、乾杯!
次のお悩みは、同じく50代の男性、Sさんからです。
「私には子どもが二人います。現在、大学生と高校生です。昨今の、戦争や疫病、自然災害、それにともなう経済不安など、なにかと子どもたちの将来が心配です。未来の安心を得るにはどうしたらいいでしょうか?」
このような内容です。
昨今は、さまざまなニュースがあっという間に世界中に伝わる時代になりました。情報量が圧倒的に増え、それに比例して、不安に思う気持ちも増しているのが現代です。これから、もっと悪くなってしまうんじゃないか、と感じるのも当然のことです。
Sさんは「未来の安心」という言葉を使われています。では、「安心」とはどういう状態なのでしょう。それは、ほぼ100%コントロールすることができて何も不安に思うところがない、という状態ではないでしょうか。そう考えると、未来のことをすべてコントロールできるなどという状態はあり得ません。それは神のみぞ知る世界です。
最近読んだ本の中で、「安心」に代わって「信頼」という言葉を使われている方がおられました。安心はできないけれど信頼していく。コントロールできないような未来に対しては、「信頼」という言葉がピッタリだと、私は感じます。
子どもが信頼していけるような社会、そんな社会を大人が作っていくことができたら、少し希望が生まれてきませんか。
そのうえで、Sさんに提言したいのは、子どもが少しでも未来を信頼してくれるような、あなた自身の姿を子どもに見せることです。といっても、大それたことを考える必要はありません。世界はあなたの手許足許と地続きでつながっています。次の世代に遺してあげたい、あなたの身の回りの自然、環境に思いをはせてみてください。「近くの公園を掃除する」「近所の道に落ちているゴミを拾ってまわる」など、ささいなことでいいんです。あなたが社会と繋がっている、次の世代へバトンタッチする、そんな目に見える姿を子どもたちに見せてあげてください。「自分たちのことを考えてくれているなあ」と子どもが思ってくれれば、きっと未来を信頼してくれます。
金光教には、「天地のことをあれやこれやと言う人があるが、人間では天地のことはわからない」という教えがあります。天地のことは神様にまかせて、自分の手の届くところから信頼できる社会に、未来に変えていきましょう。私もいっしょに取り組みます。