シリーズ「あなたへの手紙」第4回「①幼い頃からの劣等感/②将来への漠然とした不安」


●あなたへの手紙
第4回(幼い頃からの劣等感/将来への漠然とした不安)

金光教放送センター


 おはようございます。東京都・金光教麻布あざぶ教会の松本信吉まつもとしんきちと申します。
 最初は20代の男性からのお悩みです。
 
 「私は幼少の頃から、勉強やスポーツ、趣味や特技など、これといって得意なものが何もなく、劣等感を感じて生きてきました。そう思うからなのか、社会人となった今、職場で誰からも見下されているように感じ、仕事場へ行くのが苦痛です。どのように対処すればよいでしょうか」
 
 このようなお悩みです。

 私も、仕事がのろくて、みんなから見下されているように感じていました。大学時代、大手ハンバーガーチェーンのショップでアルバイトをしていました。お店のグランドオープンにあわせて大学生30人がバイトに採用され、みんな初心者でしたので、キャリア関係無しに楽しくできるだろうと考えていました。ところが、みんな仕事ができて、早いのです。ハンバーグを焼くこと、バンズにサンドすること、フライドポテトを揚げること、レジのお客様対応、フロアの掃除、洗い物など、みんな、早くて丁寧に仕事ができるのに、自分はできない。やがて私は、自分の仕事がのろくてみんなの足を引っ張ってるように感じました。さらに閉店から2時間経っても店の片付けが終わりません。年上のバイト仲間からも、遅いと言われます。その劣等感を感じる毎日でした。しかし、ある日、店長から、「松本は仕事が遅いけど、あいさつがいいな」と言われました。それがうれしくて、その日から、店に入る時に、「おはようございます」とより大きな声で言うようになりました。でっかい、でっかい声で、「おはようございます!」と。すると、バイト仲間も、「まっちゃんは元気でいいね」と言ってくれました。そうするとやる気が出て、多少の失敗は気にならなくなりました。そうしてるうちに、仕事も覚えて、スピードも速くなりました。だんだん、みんなと同じようにできるようになり、劣等感を感じない自分になっていました。あれから三十数年経ちますが、今でも年に数回、このバイト仲間と飲み会をしています。あの頃の思い出を話しながら楽しいお酒です。
 だから、あなたも小さなことでいいから、「いいところあるよ」「できているところある」「大丈夫だよ」と、自分を認めるところからやってみてください。もし、自分を認めることができなくても、実はそのままでいいんですよ。神様は一人ひとりの命を認め、一人ひとりを大切に思ってくれています。劣等感を抱えたあなたのことも、です。金光教の教会は、思いを吐き出せて、思いを聞いてくれる、そんな場所です。あなたのありのままの思いを話してみてはいかがでしょうか。

 次は20代の女性からのお悩みです。

「将来が漠然と不安です。日々の暮らしも同じ毎日の繰り返しで充実しません。深刻に悩んでいるわけではありませんが、自分に残念な思いです。みんなこんなものなんでしょうか?」
 
 このようなお悩みです。
 
 戦争や疫病、自然災害、それらに伴う経済不安。昨今は、世界中がそうした不安を抱えていますね。あなたがそういう時代を、どう生きたらいいか、どう日々を過ごしたらいいか、悩むのも当然のことです。そんなあなたに、私からは二つ、提案があります。
 一つは、何でもいいから自分の好きなことに取り組むことです。私は50歳を過ぎてから、ギターを始めました。それまで楽器は何にもできなかったんですよ。私はあるバンドが大好きなんですが、ある時、街でそのバンドの曲と同じ名前のバーの看板を見つけました。思い切って、そのバーの扉を開けると、やはりマスターもそのバンドのファンで、生ギターで弾き語りを聴かせてくれました。とてもすばらしい歌とギターでした。私も一曲でいいから自分でそのバンドの曲をできるようになりたいと言ったら、マスターがギターを教えてくださることになったんです。その日からそのバンドの曲をギターで弾く稽古が始まりました。あれから5年。今では何十曲もできるようになり、街の音楽祭などにも出演するほどになりました。好きだから練習も苦にならず、達成感もあります。
 ですから私も、この時代社会に漠然とした不安はありますが、大丈夫です。是非、あなたも自分の好きなことにチャレンジしてみてください。できることに集中して、行動すると、不安はなくなると思いますよ。
 二つ目の提案は、今自分が居る場所を少し変えてみてはどうでしょう。例えば旅に出るというのもいいかもしれません。海でも山でも大自然の中に身を置いてみたりとか。山々に生えている何億という木々の葉っぱの一枚一枚にも、広大な海のさざ波にさえ、天地の神様のおはたらきが満ちています。そしてあなたも、そんな神様のおはたらきの中に生かされているのです。それを体いっぱいに感じてみてください。きっと自分の概念の枠が外れて、神様に包まれているぬくもりを感じることができると思いますよ。
 今日もあなたにとってすばらしい一日になりますように。HAVE A NICE DAY!

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