僕の居場所はここにある


●信者さんのおはなし
「僕の居場所はここにある」

金光教放送センター


(ナレ)東京都の金光教本郷ほんごう教会に参拝する薊正行あざみまさゆきさんは現在、スーパーの青果コーナーで働く23歳、明るい笑顔が魅力的です。中学2年生の時に、軽度の発達障害と診断されました。子どもの頃から親に連れられて教会に参拝していた正行さん。今は亡き前の教会長、西村淑夫にしむらよしお先生は、孫のようにかわいがってくださったといいます。今日は正行さんに本郷教会でお話をうかがいました。

(薊)僕がお母さんのおなかの中にいる時から、もうすでに親のほうがこちらに来させていただいていたので、主に遊んでもらったという記憶、おじいちゃん先生と遊んだことが、やはり思い出に残ってます。幼少の頃から遊んでもらっていたので、心の優しいおじいちゃんというか、おじいちゃんなんですけど友達感覚。「おー、来たか」みたいに出迎えてもらえて、それで遊ぶという流れで。ここに来れば必ずおじいちゃん先生という遊び相手がいたので、ウイウイとして来てましたね。 

(ナレ)そんな明るい正行さんでしたが、小学生の時に不登校になってしまいます。原因は授業スタイル。先生や黒板の前に机を並べて授業を受け続けることが、正行さんにはどうしようもなくつらかったといいます。

(薊)大っ嫌いでした。小学校一、二年くらいまではしっかり通ってたんですけど、三、四年くらいから、学校というか、授業の前向きのシステムが大っ嫌いすぎて。じっとしてはいられるんですけど、前向きの授業の姿勢、あの体勢が嫌いで、小中学校は本当に不登校で。でも、学校は嫌いなんですけど、テストの時とかは必ず出席するんですね。点数がとれる、とれないは置いといて。
 普通は、友達付き合いがうまく行かなくって不登校になるらしいんですけど、僕の場合、クラスメイトとの関係は良好だったんです。話す時は話すし、遊ぶ時は遊ぶし。行ったら行ったで過ごしやすい環境だったかなと、今、自分では感じます。

(ナレ)中学三年の時、いよいよ受験シーズンを目の前にして、高校見学に出向き、正行さんにとって一番いい学校に巡り合います。

(薊)学園祭をやってる最中で、事務室に通してもらって、軽い面接をして。推薦とかはもらっていないんですけど、「自己推薦でいいよ」と言われたので、一応推薦枠、自己推薦って枠で行かせていただいて。受験の時も、面接と、あと個人で持ってくる作文を提出してって感じで。行ったら受かってました。
 授業はゼミ学習って感じで、一週間に一回だけ前向きの授業がありました。個人的にはやりやすい。自分と同じような経歴持ってる人たちが集まるところだったんで、勉強できなくても、周りと雑談してても、あまりとがめられず、本当にのびのびとやれる感じで、非常に行きやすかったですね。中学生の頃の先生との掛け合いがなんだったんだろうと思うくらいに。みんなと一緒に馬鹿やって、三年間留年もせず、奇跡的にあまり赤点も取らず、「金光様、万歳」と。ウキウキルンルンみたいな。

(ナレ)本郷教会では、金光教フォーゲルという活動に取り組んでいます。フォーゲルでは、集会やキャンプなどを行い、青少年の交流をとおして心身を育てるという願いのもとに、活動を進めています。正行さんは、このフォーゲルに身を置いたことも大きかったと言います。

(薊)子どもと一緒に遊ぶことは好きです。やっぱり気が合うというか、波長が合うというか、そういう感じになるんですかね。大人と付き合ったり、話したりするよりも、子ども特有の感覚というか、それに触れてるほうが、精神的な疲労は小さくて。楽しく疲れるというか、肉体的にも精神的にも。周りの子どもたちとか見てると、「将来、俺みたいになるなよー」とか言ったりして。子どもたちが成長していく姿を見たりとかしてるのが楽しいんです。

(ナレ)金光教には「人間は皆、神様の愛しい子ども」というみ教えがあります。母の洋子ようこさんも、次のように語ります。
 「フォーゲルの皆さんが正行のことを理解しようと、自分のこととして考え、大切に育ててくださいました。正行も自ら人の輪に入るようになり、たくましさと勇気を頂きました。周りに頼りっぱなしではなく、自分で責任を持って活動できるようになりました」と。

(薊)フォーゲル関係の人たちで、うちのお母さんと同年代や後輩の人たちには面倒見てもらったんで、影響されてるところは少なからずあると思います。

(ナレ)正行さんは、教会参拝やフォーゲルの活動をとおして、自分自身を生かす術を身につけました。それは亡くなったおじいちゃん先生や、家族、教会やフォーゲルの方たちの祈りと見守りの中で育まれたものだったのでしょう。
 正行さんにとって大きな安心感に包まれる居場所。教会やフォーゲルは、正行さんが正行さんらしく輝けるように、神様が用意してくださった居場所でした。正行さんは今日も、明るく元気に朗らかに、教会へ、仕事へと出かけます。

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